モンティシェーニュにすぐ禁書庫に向かうつもりなのか聞かれた。
ええ、そのつもりです。善は急げと言いますし。
ヌーメノン大書院でガイド用の魔法人形を探せって。あの子、シャーレアンのガイド本しか教えてくれないけど。
……まだ同行イベント続くの?いい加減テレポさせて。
トークスポット。ヌーメノン大書院についてシュトラと話した。
私とラハ君が来るまでここで次元跳躍の手がかりを探してたけどそれが禁書庫にあるなんて灯台下暗しねって言われた。
シュトラ、ラハ君の事をグ・ラハ・ティアってフルネームで呼ぶのね。
アルザダール3世の冒険譚を知ってたらそこから辿り着いたかもしれないから児童向け伝記も読むべきだったと悔やんでる。
こう聞くとどこから新しい知識が得られるか分からないんだなー。
「非現実的な事を成し遂げる為には常識に縛られない柔軟な発想力が必要……。時間があったらもっと色んな本を読んでみたいわ」
生きてる時間に対して世界に存在する本の量が多すぎるのよねー分かるわ。
魔法人形、前のと違う子だった。
ガイド用の魔法人形に話しかけたら議会から話が通ってた。
すぐに禁書庫へ案内される。
これグブラの音楽だな。多分。
この中にデミールの禁書があるはずだから探そう。
シュトラが手に取った事のない書物がこんなにもある事に感動してる。
探し物が先だって事は分かってるって。
大丈夫よ、私も読める本は全部読むから。
ある彫金師の日記。
これグブラかどこかにある本の続きか関連本かな?
異界で出会った人型の美しい妖異は今にも消えてしまいそうなほど儚い目をしていた。
美しき存在はただそれだけで愛を捧げるに足るのだから!と締められてる。
序章だわ、これ。ここから始まりイカを召喚するのね。
ある魔法学者の手記。
第六星暦1564年、アマルジャ族がイフリートを召喚した。
この蛮神は巨大なトカゲの姿を持ち、火の魔力を操る。
神降ろしが信仰心や祈りによって発動するから蛮神の姿や権能が召喚者が信じる神話と一致するのは魔法学的には妥当な結果と言える。
万能の知性を信じる者が神降ろしをしたらどのような存在が生じるか。
知の神サリャクやそれに類する存在を召喚したらどうなるのか。
呼び下ろされた人工的な万能神は知の深淵を知り得るのか。もしそうならその知識はどこから生じるのか。
『私は巨大世界がいかなるものかを知りたい』
私は見て来たぜー!エルピスを。
過去に戻る手段が無いとしたら過去を知る存在を召喚すればいい。
でも回答を得ても真実かどうか確認する方法は無い。
デミール家が生んだ奇跡。多分さがしてるのはこれっぽい。
本書はデミール家第9代当主ヌハシャンが発見した秘術、世界を繋ぐ門の制御法を記した物。
ビンゴー!
シュトラに渡したら出遅れたと言われた。
軽くめくった本の中身が気になってそっち読んでたらしい。図書館あるあるだよね。分かる。
ムビになった。あら。いい表紙の本ね。
署名から感じるエーテルがデミール家の物だとシュトラが語る。そんな古いものでもエーテル残ってるものなんだな。
シュトラが本を開いた。
おお。地図とかでよく見かけるアトモスだ。
『妖異には異界ヴォイドより仲間を召喚する者がいる。中でも飛び抜けて召喚能力に長けているのが『アトモス』と呼ばれる種である』
アトモスの巨大な口から次々に妖異が転送されてくるから鎮圧に当たった星戦士団は苦しめられた。
アトモスが簡易的なヴォイドゲートの役割を持ってると考えて小型のアトモスを捕まえて能力を解明しようとした。
アトモスは世界の境界に生じた亀裂、ヴォイドクラックを体内に取り込む事でゲートへと拡大させていた。
……私達、いつもヴォイドゲートを通って地図から吐き出されてたのね。
アトモスが発する特殊なエーテル波長を解析して、クリスタルに蓄積されたエーテルをこれに類似する波長に変換するプリズムを生成した。
特殊プリズムを組み込んだ人造アトモスと呼べる魔法人形を完成させた。
しっかり作り方も理論も書いてあるね!
これは確かに禁書指定になるわ。
シュトラが目を閉じた。
盲点だったらしい。アトモスは古くから知られる種だから。
第七霊災の直前にもあちこちでアトモスが出現した。
私も噂くらいは聞いた事あるでしょと言われたけど覚えてないですね。
自機は頷いてるぞ。記憶力いいな。
人工的に妖異を創る本は確かにシャーレアンの賢人には禁書認定される。
でもそのおかげで私達も世界を飛び越える術に一歩近づいた。
サンキュー昔の自己顕示欲の強いデミールの錬金術師!
少し考えれば禁書指定になると分かりそうなものなのに、人工的にヴォイド作れたーわーい!シャーレアンにも教えてあげよーって本にしてくれてありがとう。
じゃあ目当ての本は見つけたし他の本でも読もうか。
シュトラも全部の本を読みたいくらいだけど、自分達を信じて閲覧許可を出してくれた議会を裏切れないから今日の所は諦めるって。
多分バレないぞ。あ、そこに魔法人形がいるからダメか。
やっぱり天井まである本棚が沢山あるのいいなー。自分ちのハウジングにもそういう場所を作ろう。
すぐにでも人造アトモスを作りたいけど、シュトラは錬金術は門外漢だから素直に専門家を頼ろうと言った。
ここにも敏腕錬金術師がいるんだが??
マイスター錬金術師なんだが?????
デミールの錬金術師、ニッダーナを頼る事になった。
ラザハン式の錬金術とウルダハ式の錬金術は違うからね。私のはウルダハ式だし諦めてやるか。
ガイド用魔法人形に議会へのお礼を伝えてくれるように頼んで私達は新型エーテライトでサベネアへと向かった。
シュトラが相変わらずここの錬金術師は徹夜続きの青ざめた顔でも目だけは生き生きとしてると言った。ちょっと失礼よ。
でもまだ徹夜するほどの仕事があるんだね。
ニッダーナに楽しそうな研究に混ぜてもらえるんだって?と言われたけど楽しいのかな、アトモス作り。
シュトラはあなた達にはきっと楽しんでもらえると思うと言ってさっきの本を渡した。
禁書庫にある本なのに持ち出しも出来るなんて太っ腹だよね。
ニッダーナは署名を見てデミール家のだと気付いた。こんな書物存在すら聞いた事ないって。禁書だからね、伝わらないよ。
シュトラが誇らしげに禁書庫から持ち出したと腕を組む。いや、そこ威張る所じゃないから。
ニッダーナはうろたえる。
「禁書は読む事を禁じられているから禁書なんだよ!?そんなもの渡されたら……」
貪るように読むわよね。
「読むに決まってるじゃない!」
よし。ニッダーナもこっち側の人間だ。
改めてニッダーナに人造アトモスの製造を手伝って欲しいとお願いした。
「もちろん喜んで!むしろこっちからお願いしたいぐらい!」
ニッダーナも立派な錬金術師だな……。
高名なシャーレアンの賢人達を震え上がらせて禁書に指定させた知識なんて紐解かずにいられないって。根っからの研究者だな、彼女も。
「その気持ち、私にもよくわかるわ」
シュトラが賛同した。私にもよく分かるから、ここにいる女、こういう女しかいない。
ここに来て人造アトモスを作る理由をやっと聞かれた。
作る事にうわーいって盛り上がってて理由はどうでも良かったのとても研究者らしい思考だと思う。
豊穣海に沈んだ海底遺跡や封印されたヴォイドゲート。まだまだニッダーナの知らない事は沢山ある。
そりゃ神様でもない限り全てを知る事なんて難しいと思うよ。
人造アトモスにゲートを拡張させるなら実物を見ておく必要があると言われた。危険だから失敗できないし。
シュトラはヴォイド探索に向けてもう1つ準備をする所だったから一緒に行こうと言った。
準備って何?霊鱗でも作るの?
星極性を帯びた水と、アクアマリンの原石と、高純度の水属性クリスタルを用意する必要がある。
原石とクリスタルはシャーレアンで仕入れたから水を手に入れて来て欲しい。
……また水汲みか。
ニッダーナがマーヤーの幻泉へ行くといいと言った。そこの水は魔力を活性化する作用があると言われてて、古くは魔術師達が修行に使っていた場所らしい。
私が水汲みに行ってる間にシュトラはヴリトラを呼ぶって。これからする事にはゲートの封印装置を操作する必要があるから。
結界でも張るのかな?まあ私は水汲んで来るよ。
ニッダーナが「そんな重大で面白そうな計画に加えて貰えて嬉しいよ!期待に応えられるように頑張るね!」と元気いっぱいだった。
貴女優秀な錬金術師だものね。期待してるよ。
マーヤーの幻泉って赤ん坊とお母さんが獣に投げられた場所じゃん……?
水汲んでデミールに戻った。
ニャンとヴァルシャンが来ていた。
ニャンはメラドがカルザール基金の話を聞いてとても喜んでたと教えてくれた。
ヴァルシャンは海底遺跡にまた行くのだろう?としか言わない。
ニッダーナは言い忘れてたけどマーヤーの幻泉は魔術師達の修行場だけあって魔物に気をつけて!と言いたかったらしいけど「もう遅いよね?」って言った。もう行って戻って来たわよ。
シュトラに水を渡した。他の材料と一緒にヴォイドゲートの所に運ぼうと言われた。
ニャンがいるのはヴリトラを呼びに行くついでに暇そうに歩いてたから連れて来たらしい。
彼の力が必要になるかもしれないって事は戦闘になるのかな。面倒だな。ニャン頼んだ。
ニャンが船を探さないとなと言ったけどヴリトラがシュトラから話を聞いた時点で手配していたらしい。さすが出来る男。
アキャーリの船ってまたマトシャのかな?
マトシャの船じゃなかった。星戦士団の船だった。
ニッダーナがアルザダールの宝の噂は酔っ払いの与太話じゃなかったんだと喜んでた。
ニャンはまたあの遺跡に潜るのかと言い、シュトラは船に乗せてもらおうと言い、ヴァルシャンは主である自分がいれば宝物殿の守護者が襲ってくる事はないから見かけても壊さず素通りしてくれと言った。
私だって見境なく壊す訳じゃないんですけど。
襲われない限り攻撃しないよ。人を何だと思ってるんだ。
……うん。でも知らなかったとは言えボッコボコに壊して悪かったよ……。
では再び海底遺跡にレッツゴー。
封宝の間に一瞬で移動。便利。
ニャンが前回来た時に守護者は全て壊したつもりだったけどまだ少し残ってたから排除したと言った。
ば、馬鹿ー!この大馬鹿者!ヴァルシャンの話を聞いてなかったの!?
ヴァルシャンごめん。元蒼の竜騎士、金銭感覚がおかしいだけじゃなくて人の話も聞かない男だった。
ヴァルシャンちょっと悲しそうだった。
「壊すなと言う間もなくエスティニアンの放った槍が次々と守護者の心核を貫いていったんだ……。もっとしっかり注意をしておくべきだった……」
ほんとごめん。うちのアホな竜騎士がごめん。後で殴っとくから許して。
シュトラはサバサバしてた。
「お気の毒ね太守様。エスティニアンには後で働いて弁償してもらうとして……ひとまずはヴォイドゲートの事に集中しましょう」
ニッダーナがこの遺跡や装置の事をもっと早く知りたかったとヴァルシャンに言った。
まあ隠してたからね。悪用されても困るし。
ヴァルシャンちょっと困ってる。すまないって謝ったけど多分謝る必要は無い。
ゲートの存在は太守に近い者以外には隠してたって。
シュトラが集めた素材を並べた。ニャンが何をしようとしてるのか尋ねる。
シュトラは確かめておきたい事があると言った。何だろう分からん。
ノアの報告では第十三世界でも短時間なら妖異化しないで活動出来る。
怪我して体内エーテルが不安定になったり、長時間滞在したら妖異化する危険性が高い。
ラハ君は霊鱗があれば妖異化を防げるかもと言ったけど第十三世界に行く前に確認したい。
ニャンは確認じゃなくて実験だろ、と言った。だからクエストタイトルが『ヤ・シュトラの実験』なのか。
シュトラはニャンにどうすれば霊鱗の効果を実証できるか分かるかと尋ねた。
妖異を呼び出せばいいの?それとも短時間向こうに行ってみるの?
自機がシュトラの用意した素材を怖い顔で見つめる。
選択肢が出た。
「自分が行こう」
「何も言わずエスティニアンを見る」
「使い魔を送って反応を見よう」←
チキンなので私は行きません。
シュトラに「ええ、正解よ。さすが冴えているわね」と言われた。
ヴリトラが人形を送ったように、私達は使い魔で実験する。
だからゲートが必要なのか。
例え小さなクラックでもインプとか低位の妖異は通過して来てしまう。
それならこっち側からもそれくらいの使い魔なら送り込める。
またあの黒い人達にゲートが開いた事を気付かれるのかな?
シュトラは本当ならこの使い魔だけは使いたくなかったらしい。何で?ブタなの?ポークシーなの?
シュトラがめちゃめちゃ嫌そうな顔をする。
10代の頃にデザインしためちゃめちゃ可愛い生き物とかかな。
ニャンが魔女と名乗るシュトラがそこまで言うとはいったいどんな使い魔なんだと疑問を投げかける。
私はめちゃめちゃ可愛い生き物に一票です。
シュトラが呪文を唱えて杖を振った。何か回転もした。
最後に「トゥルル、アワワ〜」とか言ったぞ。
ウィンクもした。あと何か効果音が魔法少女だった。変身しそうだった。
ニャンが「……何か悪いもんでも食ったのか、あいつは」と突っ込んだ。
シュトラがマトーヤの所で修行していたのは7歳から17歳まで。
もしかしたら使い魔契約したのは10歳とか12歳とかの時かもしれない。
それなら呪文も生き物も魔法少女っぽくても仕方ないと思う。
さぁ、どんな生き物かなー?
ニッダーナがとっても可愛いと言った。
ヴァルシャンが無言で眺める。何か言いなよ。
「トゥルルル、アワワ〜!遊んで遊んで〜!」
よく分からん生き物だが可愛いな。あと見た事ある。何かミニオンにいた。
シュトラの耳がしおしおになった。がっくりと項垂れる。
確実にゲートを通過させるには最もエーテル量の少ない使い魔を呼ぶ必要があった。
で、それが子供の頃契約した可愛いやつだというのね?
「ただ、何で術式の最後にあんな詠唱の言葉を織り交ぜたのか、子供の頃の自分に会う事があったら問い詰めたいわね」
多分魔法少女にハマってたんじゃないですかね。
この子ら名前ノッケンっていうのね。
2体いるから片方には霊鱗を持たせて、第十三世界から戻ってきた後の2体の状態を観察して霊鱗の効果を検証する。
シュトラはヴァルシャンにヴォイドゲートの制御を頼んだ。
ヴァルシャン、さっきからびっくりしてばかりだな。びっくりしてるの可愛い。
ゲートを開いてる間は向こうから妖異が来る可能性があるからニャンはニッダーナの護衛。
ニャンもちょっと動揺してる。皆、魔法少女ヤシュトラに動揺しすぎ。シュトラにだって少女だった頃はあるんですよ!
シュトラに私も万一の為に備えてと言われた。分かったよーって選択肢が出た。
「任せてくれ」
「トゥルルル、アワワ〜!」←
「……」
まあね。あるからには言うわよね。
「……あら。ノッケンの代わりにあなたを無理やりゲートに突っ込んでもよくってよ?」
さっき自分が行くって選択肢からこれ選んだら別にいいよってなりそうだな。
では実験開始。ヴァルシャンが封印を解いてゲートが開いた。
ノッケンにシュトラが命じると、2体は「トゥルルル、アワワ〜!行ってきま〜す!」と超軽い感じでゲートの中に飛び込んで行った。
ヴァルシャンはここに来るとクリタワの巨大なゲートに消えてく姉の後ろ姿を思い出すらしい。
君、そんなに頻繁に思い出してるのに忘れようと、諦めようとしてるのか。
ニッダーナが言った。
「さっきのヤ・シュトラさん、可愛かったなー!トゥルルル、アワワ〜!」
彼女に悪気はないのは分かるけどそれ本人に言ったら怒られると思う。
ニャンが「魔女殿にもガキだった頃があったんだな」としみじみと言った。当然ですよ。ニャンにもあったでしょ?
シュトラには結果が出るまで少し時間がかかるから妖異を警戒しつつ待っててと言われた。
トゥルルル、アワワ〜!了解です。
皆でぼーっとゲートを眺める。
ヴァルシャンの表情が少し変わった。
シュトラがそろそろ良い頃合いだとノッケンを呼び戻した。
片方は元気にくるくるしてる、片方は紫の霧を出しながらピクピクしてる。
かわいそうだな……。
「ご苦労様。よくがんばったわね」
シュトラがピクピクしてるノッケンに右手をかざす。ニッダーナが「かわいそうに。妖異になりかけてるわ」と言った。
妖異になったら戻せないんだっけ?
壊れたラジオみたいな声がゲートからした。
門が開いたと言ってインプが出てくる。
我々3人は武器を構えて襲撃に備えたけどヴァルシャンが封印して出て来なかった。
ニッダーナは今のでヴォイドゲートの危険性がよく分かったと言った。
そこで転がってるノッケンは助けられないの?
ニャンが見れば分かるけど実験の結果を尋ねた。
霊鱗を組み込まなかった方の個体はエーテルが乱れて淀んで妖異になりかけてる。
助けられないの?
霊鱗を組み込んだ方はエーテルも綺麗で安定している。
「ありがとう。ゆっくりお休み」
シュトラがノッケンを2体とも消した。使い魔の作り方をよく覚えてないけど、これ結局エーテルに戻るだけだから助けられたって事なのかな。
シュトラの手には霊鱗だけが残る。
ニャンがラハ君の読みは正しかったのかと尋ねたら、シュトラは妖異にならなかった方も無事なように見えて霊鱗が劣化してると答えた。
霊鱗は精神汚染を誘発するエーテル放射から魂を護る為に作られた物だから、防ぐべきエーテルの波長が異なれば影響も違うらしい。
第十三世界の乱れた環境エーテルに対応出来るように調整すれば大丈夫らしい。
ニャンは第十三世界がどんな場所なのか分かるように説明してくれと言った。基本情報の確認ですね。
第十三世界は闇の氾濫によって無、ヴォイドと呼ばれるようになった世界。
エメトセルクによると強引に世界の再統合をしようとしたけど結局統合する価値もない世界に成り下がった。
その原因について三闘神を巡る戦いで会った不滅なる者、ウヌクアルハイはこう言った。
彼、懐かしいな。
第十三世界では聖石と呼ばれる石に蛮神の力を封じる魔法が発達していた。そうだったっけ?忘れてた。
彼の世界の英雄達は戦いの中で聖石の力に呑まれ魔を喰らう妖異へ堕ちた。
それを止める力を持つ光はあまりにも弱く、闇の氾濫から世界を救うには至らなかった。
私は実際にノアの一員として第十三世界に行った事があるからそこで目にした光景を教えてくれとシュトラに言われた。
覚えてないぞ!あ、ヤミセカの話?それなら分かる。
だってこれ、今、ヤミセカの音楽がかかってる。音楽でアラルレのヤミセカが始まってる。
ワンコのお腹で乳酸菌になるんだよ。
闇に覆われ太陽すら失われた世界。
在るのはただエーテルを喰らう無数の妖異だけ。
正にヴォイドと呼ぶのにふさわしい世界だとシュトラが言った。
だから私達があの世界に行く事を勧めないとヴァルシャンが言う。
まあヤミセカ、一時期頻繁に通ってたからな。
シュトラは第十三世界に行く事は1つの過程に過ぎないと言った。
本来の目的は第一世界と自由に行き来する事だものね。
「この旅路は分かたれた世界のすべてへと通じていて、私はこの世のあらゆるものを解き明かす為にここにいる。ご心配は無用だわ」
シュトラが笑った。霊鱗を調整すると言ったけど自分では出来ないのか。それこそニッダーナに頼んだら?
あ、そっか、ニッダーナは人造アトモスを作るお仕事があった。
デミールの資料だけじゃ情報が少ないから王宮の太守一族の記録庫にも入りたいとニッダーナはヴァルシャンに言った。
ヴァルシャン答えない。機能停止したの?
「あ、あの〜、ヴリトラ様〜?」
何か考え込んでるのか聞こえてないみたい。
やっと気付いてニッダーナに帰り次第官吏達に話しておこうと言った。
聞いてるって言ってたけど半分聞いてなかったでしょ。
ニッダーナとヴァルシャンは先に戻るといなくなった。ヴァルシャンの背中をニャンが見つめた。
2023年9月9日〜10日