キャラクター

キャラクター

  • 5

ショートストーリー『彼女の剣となり、盾となるために』

公開
【注意】
本作は「漆黒のヴィランズ」のメインストーリーに関わる記述があります。
私(Marie Stringer)の視点で描いた物語となりますので、抵抗のある方は閲覧をお控えください。

クリックして表示クリックして隠す

「すぐ気づいたわよ?」

 白髪に赤いリボン。アリゼーは事も無げに答えると、ティーカップに口をつけた。

 別れの地。原初世界。ギムリトダーク。
 再会の地。第一世界。アム・アレーン。
 
 別れと再会の間に、私の姿は変わっていた。まるで、別人のように。それでも、彼女は私が私であることを、あっさりと受け入れた。その理由を、私は知りたかったのだ。とても。

 そんな思いが顔に出てしまったのか、彼女はティーカップをソーサーに戻すと、つんととがった顎先に指を当て、「そうね……」と言葉を探す。

「改めて考えてみると、不思議よね。あなたの耳……というか、角? そんなにふわふわで、長くなかったもの。それでも、あなたを感じたというか……ヤ・シュトラなら、エーテルを視たとでもいうところでしょうけど……」

 考え込むアリゼー。当たり前のこと……呼吸を意識することで、妙に息苦しくなってしまうかのような……それだけ、今の私を受け入れてくれているのだろう。嬉しかった。アリゼーは私の表情を窺うと、慌てたように付け加えた。

「それに、初めてのことじゃなかったしね」

 ……そうだった。彼女と初めて出会った時、私はヒューランだった。それから、アウラの姿に戻った後に再会して……驚かれはしたけれど、すぐに受け入れてもらったっけ。

「あの時も、すぐにあなただって分かったのよね。見た目って、そんなに大事なことじゃないのかもしれない。私はその奥にある、あなたの魂を視ているんだから……なんてね」

 私が頷くと、アリゼーは「こほん」と咳払いして、居室の扉へ顔を向けた。

「そ、それにしても、遅いわね。二人とも、何してるのかしら?」

 二人とはヤ・シュトラとリーンのことだ。今夜は私の居室でお茶会をするという約束をしていたのだが、アリゼーには集合時間を早く伝えていたのである。理由は、こうして二人の時間を作りたかったから。私はどうしても、アリゼーに伝えておきたいことがあったのだ。

 ギムリトダークでの別れ。彼女の手を掴めなかったあの日。あれから、彼女は強くなった。見違えるほど。でも、危うさはあった。優しさ故の、危うさが。それでも、彼女は世界の剣として戦い続けるだろう。自らの身が、心が、傷つくことを厭わず。だから、私は──

「……どうしたの? 闇の戦士様に、そんな顔は似合わないわよ? ……私の剣にもね」

 そう。私はあなたの剣。でも、それだけじゃ──

「まぁ、せっかくの機会だから、ちょっと言わせてもらうわね」
 
 ……え? アリゼーは腕組みすると、私をキッと睨みつけた。私は目をぱちくり。

「私はね。こっちに来てから必死に修行をしたのよ? あなたを追い越すことはできなくても、せめて横にはいられるようにってね。それなのに……再会したら、あなたはもっと強くなってるって、どうなってるのよ! 別れた時、あなた、ガンブレイカーなんてやってなかったじゃないの! サンクレッドもぼやいてたわよ? 俺の立場がなくなるって。それに、何だってそんなに大きくなっちゃうのよ! こう見えて、私だって……もう、信じらんない!」

 アリゼーは一息でそこまで言うと、「ああ、すっきりした!」と言って笑った。……ああ、私は、その笑顔を守りたいと思ったんだ。心の底から。だから……。

「私、二人を呼んで来るわね」

 立ち上がり、扉に向かおうとするアリゼー。私が立ち上がると、アリゼーは足を止めて振り返り、私を見上げた。……そう、あの頃は目線の高さも同じぐらいだった。あの距離の近さも好きだったけれど、あのままだと、これはできないから。

 私はアリゼーに歩み寄ると、右腕を背中に回し……「ちょ、ちょっと!?」という声を無視して、左腕を太股に回し、抱きかかえた。ルナルが、ヤ・シュトラをそうしたように。

「……もしかして、このために?」

 私が頷くと、アリゼーはそっぽを向いて「馬鹿」と呟いた。

※※※

「……かの水晶公が、覗き見とはね」

 魔女の一声に、クリスタリウムの長はビクッと身を震わせた。

「あ! い、いや! その、差し入れを……ただ、扉が少し開いていたものだから……」

「それを覗き見と言うのよ。……リーン、見てらっしゃい」

「わ、私がですか?」

 魔女の後ろに控えていた少女が、自分の顔を指さす。

「見たくないの?」

「……いきます!」

 少女は素早く、かつ慎重に扉へ張り付くと、隙間から部屋の様子を窺う。

「……うわぁ、アリゼーさん、抱っこされて幸せそうです! ルナルさんに抱っこされてた、ヤ・シュトラさんみたいに!」 

「それは忘れなさい!」

「いいなぁ……」

「あなたもお願いしたら? それとも、サンクレッドかウリエンジェの方がいいかしら?」

「そ、そんな、恥ずかしいですよ!」

「……そういえば、彼女に抱きかかえてもらいたそうな人なら、そこにいたわね」

「なっ! わ、私は、そんな……そんなこと……恐れ多い……」

 ──それから数秒後。扉が大きく開け放たれ、真っ赤になったアリゼーが、スプリントで走り去っていったのは、言うまでもない。



▼ショートストーリーズ

No.1 『次は必ず、彼女の手を掴んでみせる』

No.2 『彼女の剣となり、盾となるために』

No.3 『残光』

No.4 『その手、鳴り合わせて』

自己紹介

※Twitterやってます! フォローはお気軽に!
埴輪@Marie_stringer

呟きの内容は主にFF14の話題やネタ、イラスト、スクショ、動画、そして自作小説の宣伝となります!
コメント(5)

Izanami Mikoto

Gungnir [Elemental]

アリゼーは新生から比べてだいぶデレ期に入ったと思うのです!
そしてアルフィノもぜひハグハグしてあげてください!

Marie Stringer

Alexander [Gaia]

★イザナミさん

蒼天で合流したあたりからデレ始めましたな!
大迷宮バハムートをクリアしておいて良かったと本当に思います!

アルフィノはエスティニアンにハグハグされているに違いない!

Natsu Vermillion

Gungnir [Elemental]

うわぁ!〜目に見えるようなシーンと個々の性格の把握がばっちぐー!
漆黒秘話に追加してもらいましょう!

Rice White

Anima [Mana]

「私」の部分を原初世界の自分=ナマズオ姿で
再生したら盛大に吹いてしまったのは秘密である。
・・・ごめんなしあああ!!

Marie Stringer

Alexander [Gaia]

★ナツさん

最高の誉め言葉を頂き、ありがとうございます!

また何か思いついたら書いてみたいと思いますわ!

★アイスさん

ご自由に楽しんで頂ければ幸いです!

お読み頂きありがとうございます!
コメント投稿

コミュニティウォール

最新アクティビティ

表示する内容を絞り込むことができます。
※ランキング更新通知は全ワールド共通です。
※PvPチーム結成通知は全言語共通です。
※フリーカンパニー結成通知は全言語共通です。

表示種別
データセンター / ホームワールド
使用言語
表示件数