「何を怯えている?」
ゼノス・イェー・ガルヴァスの問いに、フォルドラは思わず奥歯を噛みしめた。
恐れている――だが、それは死ではない。
彼女が恐れたのは、何も成し遂げることなく、無力なまま終わること。
「私が怖れているのは、何も成し得ぬまま戦場ではない場所で死ぬことです!」
ゼノスは薄く笑い、玉座から立ち上がった。
「その熱情の炎は、周囲を燃やし焦がしてゆく。未熟ではあるが……悪くない。」
その言葉が与える意味を深く噛みしめる。
敗北があったからこそ、この瞬間にたどり着いた。
「ならば機会をくれてやる。命を賭けて超越者たる力を手にする機会をな。」
ゼノスが告げた言葉は、まるで甘美な毒だった。
フォルドラは即座に答えた。
「今日この場で失うことすら覚悟した命です。そのような力を得られるなら、何をためらう必要がありましょう?」
誇りを――生きた証を求めて彼女は前に進む。
その選択が正しいのかどうかは、まだ誰にもわからない。
その頃、アナンタ族のウィルラ派では静かな安堵が広がっていた。
「備蓄していたクリスタルはすべて処分したよ。」アルフィノが微笑む。
「アリゼーが、少々手荒な方法を使ったけどね。」
リセもまた、拳を握りしめた。
「これで、しばらくはウィルラ派の安全も守られる。今度こそ……アラミゴの地から帝国軍を追い出してみせるよ。」
それぞれがそれぞれの誇りを賭けて戦いの中を進んでいた。運命は再び、交錯しようとしている――。