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ミコテとエイリと幻想薬

公開
僕の名前はミコテ。その名の通りミコッテである。

僕は今、絶体絶命の危機に追い込まれていた。その僕を取り囲むのは、FCフリーウィングの面々である。

いつもは頼もしい仲間も、敵に回すとこうも恐ろしいものか……。

「問題は、です」

口火を切ったのは、マスターのエリスだ。精一杯真面目な顔を装っているが、目はかまぼこ型で口許が震えていて、おもしろがっているのは明らかである。

「ミコさんがなぜ急に女の子になって、また急に男に戻ったのか、です」

そう。

僕は、ある朝突然女の子になって、また数日後の今日、突然男に戻っていたのだ。なぜと言われても、僕が聞きたいくらいだ。

ちょっと退屈そうに、少し離れところからケイが口を挟む。ちらちら時計を気にしているのは、何か掘りに行く時間が迫っているからなのだろう。

「幻想薬飲んだんじゃないの?」

僕は黙って首を左右に振った。幻想薬なんて、偶然飲んでしまうものでもなし、飲んだ覚えなど全然ない。

「では、誰かに飲まされたというのはどうですか」

あらもさんが小さく挙手して言うが、幻想薬を僕に飲ませて得をするような人がいるとも思えない。こちらも、すでにギャザラー装備に着替えており、問題が解決するやいなやとびだしていくことは明白である。

ふむふむともっともらしく頷くエリスだが、しっぽが楽しそうに動いている。

「つまり、ミコさんは、幻想薬を飲んだわけでも、誰かに飲まされたわけでもないのに、なぜか変わってしまったというわけですね?」

腕を軽く組んで、エリスが首をかしげる。

「だとすれば、もう一度ミコさんに女の子になってもらいましょう!」

「なんでそうなる」

「だって、原因がわからない以上、検証するためには必要でしょう?」

「いやいやいや、だから、どうやってなったのかわからないからには、もう一回と言われても無理だしちょっと待て」

エリスがゴツい両手もちの剣を頭上高く振り上げるのを見て、思わず口を挟んでしまった。その振り上げた行き先は察したくもないが一ヶ所しかなく、止めずにいるわけにはいかない。

一応剣の平の部分が僕の頭に向いているとはいえ、エリスほどの達人が力一杯降り下ろせば、僕の命運は明らかである。

「え?」

心底不思議そうに、エリスが僕を見たが、狙いを定めたようにしか、今の僕には思えない。

「寝て起きたら変わっていたのなら、もう一度寝てみればいいのではないですか?」

「だからって、それでぶん殴られたら命の危機だ!」

せーの、といましも降り下ろしそうなエリスを牽制しつつ、僕は声を張り上げた。

「僕だってなんで変わっちゃったのかわからないんだよ! 寝たらまた変われるわけでもない!」

「では、やはり幻想薬を?」

「飲んでないって。昨日寝る前に飲んだのは、そこのテーブルにあった、ケイが作ったドリンクだけだ」

「え? 私、何も置いてなかったけど?」

「……はぃ?」

あれ? じゃあ、あそこにあったドリンクは……。

と、そこへ。

「おふぁよ~」

がちゃりとドアを開けて、レモンさんが部屋に入ってきた。

部屋に集まっている僕たちを不思議そうに見たあと、レモンさんは部屋をぐるりと見回した。

「あれ? ここに置いておいた幻想薬、誰か知らない?」

「………………」

「前もなくなったことあったんだよねぇ。また買ってこなきゃ」

呟いて、レモンさんはFCハウスを出ていった。

場を満たすのは、やっぱりねと言いたげな沈黙。

「まあ」

振り上げていた剣を普通におろし、エリスが言う。

「こんなオチだと思ってました」

一言もない。まさかいつの間にか幻想薬を飲んでいただなんて。

「でもさ」

ケイが、手にした採掘用の主道具を軽く振りながら(よもや僕に降り下ろすための予備動作でもないだろう)、問いかけてきた。

「幻想薬を飲んだのはともかくとして、なんでミコは女の子になったわけ?」

あらもさんも軽く腕を組んで、ふむと頷く。

「そういえばそうですね。男に戻ったのは、ミコさんの戻りたいとう願望だと言うことで納得できますが、なぜ女の子になったのか、何か理由がありますか」

ふとあらもさんが言葉をとぎらせ、みんなが一斉にある一点を振り返る。

そこには、それまで沈黙を守っていたエイリがいた。毛を逆立てた猫のように見えるのは、吹き上がる怒りのオーラのためか。

「……ミコさんは」

ごごご……と効果音すら聞こえそうな低い声で、エイリが呟く。

「ミコさんは、ああいう子がいいんだ?」

「へ?」

我ながら間抜けな声が出たと思う。

「私よりちっちゃくて、私よりかわいくて、私より胸がある子がいいんだー!」

これは本格的にヤバい。反射的に逃げようと腰を浮かせかけた僕を押し止めるように、エリスが退路を塞ぐ位置に移動する。剣の柄に手をかけているのは、動けば切ると言う意思表示か。

エリスを蹴倒すか、別の退路を探すか。しかし、さりげないながらも、ケイもあらもさんも絶妙な位置に移動している。さてどうしたものか。

躊躇したその一瞬が、僕の運命を決した。

「トライディザスターミアズマバーストぺインフレアエナジードレイン! トランス! 迅速魔ルインガアンドデスフレアーーーーー!」

「ふぎゃああああああああああああああ!」

瀕死とはこのことか。

ぱったりと倒れ付した僕は、ぷすぷすと煙をあげるだけで、ピクリとも動けそうにない。

「待ってください、エイリさん」

そんな僕の耳に、いささか遅すぎるエリスの声が辛うじて届いた。

「別にあの姿が、ミコさんの好みの女の子というわけでは、ないのでは?」

「……どういうこと?」

ああ、エイリのこの声は、勢いに任せてやっちゃったけどちょっとまずかったかしらと少し後悔し始めている声だ。

「いえ、ふと思ったのですよ」

エリスの声もだんだん遠くなっていくような気がする……。

「男に戻ったのが、ミコさんの願望だとしたら、女の子になったのもやっぱり……」

エリスが何を言っているのか、燃え付きかけた僕では理解できなかったが、エイリはハッとしたようだ。

「ミコさんごめんなさい! フィジクーーー」

いやエイリ。召喚士のフィジクなんて、今の僕には焼け石に水。

と、そこへ、暖かな光が降り注いだ。一気にHPが回復する。ケイがベネディクションをかけてくれたのだ。

「……助かった……」

文字通り息を吹き返した僕に、しょんぼりした様子でエイリが頭を下げる。

「ごめんねミコさん……早とちりして」

よくわからないけど、誤解が解けたのならそれでいいか。

「別にいいよエイリ。でも、やっちゃう前に少し考えてほしいな!」

「うん……」

エイリの僕を見る目が、すこし、すこーーーし、いつもと違う気がするけど……まぁいいか?

そして、エリスの目が、やっぱりかまぼこ型なのが気にかかるところである……。
コメント(12)

Kuon Ikuze

Anima [Mana]

オーバーヒールで気持ちよくするのもおすすめのごうも…げふんげふん

Eiri Kou

Anima [Mana]

(灬ºωº灬)ソレダ!

Miko Te

Anima [Mana]

(๑´ㅂ`๑)はー、いやされるわー

Miko Te

Anima [Mana]

     ; '     ;
    \,,(' ⌒`;;)
    (;; (´・:;⌒)/
   (;. (´⌒` ,;) ) ’
((´:,(’ ,; ;'),`
( ・∀・)

Kuon Ikuze

Anima [Mana]

思いっきりたたきつぶしてからヒールって繰り返す方が本人喜びそうだね

Articolato Rosatraum

Anima [Mana]

ミコさんとエイリさんは相変わらずでホッとするわねえ。
ご馳走様ですわ。

Eiri Kou

Anima [Mana]

なんだか最近、らぶこめ路線を突っ走っている気がするのです……(はっ。これがいつも通りということ……?)

Miko Te

Anima [Mana]

コメディの域はでないのね、、、。

Kusanagi Nappa

Anima [Mana]

つまり、エイミコ物語だと・・・(==

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対象のキャラクターは削除されました。

ラブコメすきオシドリ夫婦
アニメ化いつですか!?ウィングのみんな普段こんな会話してるのかなーって想像してによよ
エリスさんの意外な一面、ケイさんのクールキャラもすき

Eiri Kou

Anima [Mana]

なっぱさん

そろそろ壮大な完結編でも書こうかしら……。

Eiri Kou

Anima [Mana]

じんぐるさん

おおむね私たちの日常を再現できたと思ってます! あ、でも、エリスさんはあんなことはしませんよ? やるときはもっと容赦ない……かも?
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