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エオルゼア戦記7話

公開
 そこは不思議な空間であった。右を向いても左を向いても、上も、下も、何処を見ても真っ暗な空間だけが広がっていた。しかし、嫌悪感はせず、むしろ暖かみを感じてしまうほどであった。
 アトラスは目の前にある蒼石――クリスタルを眺める。
 突如して、アトラスの足元に六芒星の魔法陣が広がった。魔法陣は淡く光り、六芒星の一角から光が天へと登る。
“聞いて……感じて……考えて……”
 また、アトラスの頭の中へ声が響く。ウルダハへ来る前に見た夢と同じ声だ。
 辺りを見回すが、やはり声の主はいない。
 すると、空が燃え、何も空間に渦が出来上がった。その渦の中心は太陽の様に燃えており、そこから火炎の球が降り注いだ。
(……どこかで見たような?)
 身に覚えのない既視感がアトラスを困惑とさせている。
“……光のクリスタルを手にし者よ”
 再び声が聞こえる。今度はしっかりと聞き取れるはっきりとした声であった。
 ふと、先ほどまでは無かった物が目に映る。丁度、人と同じぐらいの大きさをしたクリスタルがゆっくりとアトラスに近づいてくる。
“星の声を聞く者よ。我が名はハイデリン……”
 声の主――ハイデリンと名乗った。それは世界の名。この惑星の名である。
“星の秩序を保っていた理は乱れ、世界は今、闇で満ちようとしています”
(……声は……このクリスタルからか?)
 声こそは直接、頭の中へと届いているが、アトラスは目の前のクリスタルから語りかけられている気がしていた。
“闇は、すべてを蝕み、すべての生命を奪う存在……。闇に屈せぬ、光の意思を持つ者よ。どうか、星を滅びより救うために、あなたの力を……”
「……何を言っているんだ? どういう意味だ……?」
“光のクリスタルは闇を払う力……。世界を巡り、光のクリスタルを手に入れるのです”
「…………なっ!?」
 アトラスは驚愕の声を上げた。ハイデリンの言葉によるものではなく、空間の奥から姿を見せた巨大クリスタルの存在に驚いたのだ。
 巨大クリスタルの大きさは、先ほどアトラスの目の前にあったクリスタルの比ではない。その堂々とした巨大クリスタルこそが、ハイデリンの意思であるとアトラスは感じた。
“あなたの戦いが、魔法が、行動が、光のクリスタルを生み出すでしょう。それが光の意思を持つ、あなたの力……”
「俺の……力……?」
 ハイデリンの言葉を理解しようとするが、アトラスはそれが出来なかった。闇とは何か、光とは何か、クリスタルとは、自身の力とは、疑問は増え続ける一方であった。
“光の意思を持つ者よ……。どうか、あなたの力を……”
 最後に、ハイデリンが囁くと、巨大クリスタルは眩しく輝き出した。

     ★

 ゆっくりと目を開き、最初に見たのはササガン大王樹の堂々とした姿であった。
「…………意味がわからん」
 大の字になって寝ころんでいたアトラスは、夢の感想を一言で済まし、体を起こす。
 横を見ると、アリシエルも固い地面の上で眠っていた。
「気が付いたかい?」
 起き上がるアトラスに、銀髪の男性は声をかける。男性の横にはリリラが立っており、怪我もないようだ。まだ覚醒しきっていない頭で、今の状況をアトラスは整理していく。
「んっ……ん~……」
 その最中に、横で寝ていたアリシエルが悩ましげ声を出して、起き上がる。
「……何が起きたの?」
 自分の身に何が起きたのか、体の異常がないか確かめながら、アトラスに尋ねる。
「……あー……えーと……俺達、倒れてた?」
「エーテルにでも酔ったんだろうか。戦闘のあと、急に倒れたから驚いたよ」
 二人の疑問に銀髪の男性は答えた。しかし、驚いたという割には落ち着いた様子であった。
「あぁ、そうだ……見た事もない魔物と戦ってたな……」
 なんとか状況を呑み込めたアトラスが呟いた。
 アリシエルは体に異常がないか、軽いストレッチをしている。
「……今の魔物は何だったのじゃ?」
「異界ヴォイドに棲むという、妖異の一種です」
「あれが話に聞く妖異……」
 リリラの問いに銀髪の男性は丁寧に答えた。
 異界ヴォイドという言葉にアトラスは聞き覚えがあった。この世界とは違う世界、深淵の底とも言われている世界で、大口の魔物“アトモス”と関連しているとか、していないとか……そんな話を聞いた事があった。
 先ほどまで戦っていた魔物が妖異だとすると、アトラスも見た事がないのも納得がいった。
「しっかし……変な夢を見たなぁ……」
「あら、アトラスも? 私も変な夢を見たけど……妖異の仕業かしら?」
「お前も……?」
「えぇ……なんか大きなクリスタルがあって、闇を払うとか、光の意思とかなんとか……」
 アリシエルの夢の内容を聞き、アトラスは目を大きく見開いて固まってしまう。まさに、自分が見ていた夢と全く同じなのだ。
「なんだって……? 大きなクリスタル……?」
 その夢の話に食いついてきたのは銀髪の男性であった。
「あ、あぁ……何か色々訳の分からない事を言われたが……アリシエルと同じ夢を見るって偶然じゃねぇよな……やっぱり、妖異の仕業か?」
 アトラスは額に手を当て、眉を寄せて難しそうな表情を浮かべながら、あれやこれやと推測するが、結局は借金を返す資本の体が無事なら問題ないと結論づけて、それ以上は考える事を辞めた。
 そんなアトラスを余所に、銀髪の男性は一人考え込んでいる。
「なるほどね……これは、思わぬ収穫だ」
 何か納得する答えを見つけたのか、満足そうに頷いた。
「私……っと、俺は一足先に帰って、この件を、しかるべきところに報告しなければならい。……えーっと」
「アトラスだ、アトラス・ランド」
「私はアリシエルよ」
 そういえば、名乗っていなかったことを思い出し、二人は名を告げた
「アトラスにアリシエルですね。リリラ様の事をよろしくお願いします」
「なっ! わら……わたくしは子供ではない! じいのところくらいなら、自分で戻れるわ!」
 銀髪の男性に子供扱いされ、リリラは反抗するが、二人から見ればその様子がまさに反抗期の子供とその兄のように見えた。
 ふんっ、とリリラはそっぽ向いて、一人で先に歩いていった。
「やれやれ……本当にヤンチャなお嬢様だ」
「俺らがこっそりと後ろから見守っておくさ」
「それは、ありがたい」
 先ほどまで得体のしれない魔物と戦っていたとは思えない笑顔を浮かべて、アトラスはリリラの護衛を申し出る。
「君達とは、また近いうちに会いそうな気がするよ。それまで、しばしのお別れだ」
「あら? それは口説いているのかしら?」
「それはまた別の機会があれば、かな」
 アリシエルは冗談で行ったのだが、銀髪の男性の返事は本気なのかそうでないのか表情ではくみ取れないものであった。
 そのまま銀髪の男性も操車庫とは別の方向へと去って言った。
「さて……リリラお嬢様をストーキングしますか」
「もうちょっと別な言い方を出来ないの?」
 二人は軽口を言い合いながら、リリラの後を追って、ササガン大王樹を後にする。
(……しかし、あの夢は何だったんだ?)
 そこに、疑問だけを残して……。




コメント(2)

Shion Hisa

Ifrit [Gaia]

絵がうかぶ♪いいなー

Yui Tatibana

Typhon [Elemental]

この辺、わりとポカーンと置いてけぼりの展開でしたよね。
いや、最近のFFって置いてけぼりの展開ばっかりなんだけど……これは顕著でしたわぁ
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