最近、一回の更新が3000字overで2つに分けることが多くなっているような……。
そういえば、すでに次のシーズナルイベントの話は書いてあったりします。その前日談を近々載せようかなと思ってますので、そちらの方もよろしくお願いします。
あ、前のシーズナルのシリーズも終わらせないとなぁ……。
前回はこちら↓
http://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/1337941/blog/1830723/以下本文です。
「ま、神勇隊も双蛇党も間者には警戒してるだろう。そう易々とイクサル族の策略に乗せられたりはしないとはおもうが……」
「うむ、私もそうは思っておる。じゃが、私はどうにも嫌な予感がするんじゃ」
「……リノ?」
リノは空になったグラスを見つめたまま動かない。
「何か理由がある訳ではないんじゃ……。じゃが、感じるんじゃ。なにか悪い事が起ころうとしているのかもしれん」
「うーむ、俺にはそういうやつはよくわからないが。お前の勘は結構当たるものなのか?」
自分が鈍いだけなのか、それとも本当は何も無いのかはわからないが、セナには何も感じられない。セナ自身、幾度か死線をくぐり抜けた経験もあるから、勘は冴えている方だと思っているのだが。
「……どうじゃろうな。外れた時の事はあっという間に忘れてしまうが、当たった時の事は記憶に深く刻まれるからの。よく当たっているつもりでも、実はそうでもないかもしれん」
「つまり、自分ではよく当たると思っているということか?」
「悪い予感ほど、の……」
不安げに俯いた彼女の瞳が一瞬曇った。曇った蒼い瞳は目の前にあるグラスの方を向いているが、視線は遠い場所を見ているようだった。
過去に何かあったのだろう。しかし、それはセナの与り知らぬ事だ。セナに人の過去を詮索する趣味は無い。
ふぅ、と息を吐くとリノは重くなった空気を弾き飛ばすかのように、勢いよく立ち上がった。
「ダメじゃダメじゃ。こんな湿気た会話なぞ、私達には似合わぬ」
「ん、どこに行くんだ?」
「旧市街の商店街じゃ。売りたい物があっての」
ふふ、と小さく微笑むとリノは床に置いてあった麻袋をテーブルの上に乗せた。ごとり、という硬質な音が響く。
「お前、これ……」
一体いつの間に、とセナは呆れた。
麻袋の中身は、風のクラスターだった。それもかなりの大きさで純度も高そうだ。イクサル族の陣地に置いてあったものの一つなのだろうが、その中でも値が張りそうな物を盗ってくる辺り、ちゃっかりしているというかなんというか……。
「手近にあったものを一つ貰ってきたんじゃ。どうせ、やつらが何処かから盗んできたものじゃろうし、蛮神の糧として捧げられるくらいならば、私の財布の足しになった方がよほどマシじゃろう?」
「まぁ、たしかにそうだな。でも、こんな時間に行くのか?明日でもいいと思うんだが……」
時刻はもうすぐ真夜中になろうかといったところだ。たしかに、マーケットは何時でもやっているが、真夜中にうろうろするものでもないだろう。
「ふむ。そういえばそんな時間じゃったな。ならば――」
リノがホールの隅に立っている給仕に声を掛けた。
「寝る前に一杯飲んでおこうかの」
「まったく……結局飲むのか。まぁいい、俺も付き合う」
「うむうむ。酒は誰かと飲んだほうがより美味しくなるからの」
翌日、クラスターを売り払ったリノから、ギルの詰まった皮袋を渡され、セナは首を傾げた。
何のつもりだ、と問い掛けると、今まで飲み食いした代金を少しくらいは払っておこうと思っての、と返ってきた。どうやら、タダ飯にありついている自覚はあったらしい。
もっとも、酒や飯を奢ることになった原因は、セナがリノの仕掛けた罠にまんまと嵌ったせいだったから、セナ自身は授業料だと思って諦めていたのだが。
結局、その日は何事も起きることなく、ガルーダとの戦いに備えて買い物や修理を済ませることができた。嵐の前の静けさ、というもので大した異変もなく一日が過ぎていった。
敢えて何かあったかと問われれば、槍術士ギルドからの帰りに財布の紐が緩んだセナが気まぐれで買ったペストリーフィッシュを、リノが大喜びして食べていたということくらいだが、そんなことはどうでもいいだろう。
ちなみに、ペストリーフィッシュというのは魚ではなく、魚を模した林檎入りのパテの事だ。値が張る物でもないが、それでリノの機嫌が取れたのだから首尾は上々だ。
その翌日。セナとリノがナタランン入植地に潜入した日から数えて二日目の朝。まだ日の出から間もない、朝靄が立ち込める時刻。勢いよく宿部屋の扉が開けられた音でセナは目を覚ました。
「ぬしよ、さっさと起きるんじゃ!」
「……なんだ?まだ朝だぞ」
「なんだ、ではない!いいから起きるんじゃ」
半分寝ぼけた声で反応したのが悪かったのか、毛布を剥ぎ取られる。早朝の冷えた空気が容赦なくセナを襲い、否応なしにセナは起き上がった。
「くそ……なんなんだ、一体」
「こんな時に寝ぼけておるぬしが悪いんじゃ」
「こんな時って、今日はなにか約束でもしてたか?」
今日は特に何もなかったはずだ。だから、もう少し寝ていてもいいはずなのだが、とノロノロと回転を始めた頭で考える。
まだ寝ぼけておるようじゃな、と手に持っていた杖でぽかりと殴られる。
「蛮神ガルーダが召喚されたんじゃ!」
彼女のその一声で、セナの眠気が吹き飛んだ。
次回に続きます。
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