
世はIT時代、手のひらに収まる小さな機器でいつでもどこでも全世界につながることができるようになった。娯楽も選り取り見取りで、その1つであるゲームも媒体からして多種多様。
そんな中、唯一ど嵌まりすることになったゲームがFF14であるわけだが、その魅力ポイントはいくつかある。
例えば世界観。英国ファンタジーにのめり込み剣と魔法に憧れる幼少期を過ごした私にとって、エオルゼアの在り方はクリティカルヒットものである。特にタンクロールのジョブたちは「皆の先頭に立ち」「剣を振るい魔力で斬り込む」理想を体現している。(戦士はちょっと毛色が違うけど。)
例えばコミュニティ。リンクシェルやTwitterを通してつながった人たちと、離れていても同じものを同じときに体験して楽しめる。現実世界で疲弊しても息抜きできる場所がある、というのはとても幸せなことだ。
他にも色々挙げられるが、根本としては「8人レイドバトルというコンテンツが、自分にとって物凄く楽しいものだった」ということがとても大きい。
唐突だが、ヒカセンにジョブチェンジする前の私はアマチュア楽団の楽団員としての活動に勤しんでいた。環境の変化とここ最近の世情のためにすっかりエオルゼア生活に軸足を移してしまったけれど、考え方や行動様式のプリセットは今でも演奏者《プレイヤー》のそれである。
その経験とレイド攻略との親和性がとても高いのである。個人的に。
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ある討滅戦を攻略しよう、といったときに指揮台に立つのは、勿論レイドボスだ。
一曲通して全力で指揮棒を振るのだが、同じ曲でも気分によって細かい振り方を変えることが多々ある。
そんな指揮者と楽団員を繋ぐコンサートマスターはMT、消して崩れない土台をつくるベースラインSTと役割交代しつつ全体を前へ前へと進めていく。
個々の技量で魅せるDPSは管楽器。時にはソロで、時にはトゥッティで、主題を脈々と歌い継ぐ。
欠かせないのが中低弦を担うヒーラーである。ここのバランスが悪ければ全てが崩れ去ってしまう。
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演奏を完璧にこなすためには練習が必要だ。
まずは譜読みし、個人練習で運指を突き詰める。合奏練習では皆で最適な表現を探る。難しい部分は愛器を置いてとことん話し合う。
一番大切なのは調和。一人だけ頑張っても一人だけさぼっても良いものは生まれない。
演奏とレイドバトルでは全然違うところもある。その中でもでかいと思っているのは「指揮者たるレイドボスは絶対に通し練習しかしない、部分練習がない」というところである。目下練習中の絶バハの指揮者は、一瞬楽器を構えるのが遅れただけでプレイヤーを吹き飛ばし「最初から」を要求する。嗚呼ツイスター。
そもそもどんな曲なのか、と「譜面を読み解く」作業もレイドでは必須である。零式以上のコンテンツはトレース組なのであまり経験していないけど。
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竜たちと奏でる18分のハーモニーが完結するのももうすぐ。
ーーと書きかけた下書きを放置してから早数か月。
メンバーが入れ替わりつつ絶バハ、絶アレキと歌い継ぎ、先日絶アルテマウェポン討滅戦が仕上がった。
一年前には想像もしていなかった絶コンテンツ攻略だが、どの攻略でも素敵なプレイヤー達との縁に恵まれて楽しい時間を過ごすことができた。
自分の指回しで精一杯だった私も、メンバーの息遣いに耳を傾けることができるようになってきた。
聴衆もなしに8人だけで挑む演奏会。
たかがゲームと言われればそれまでだけど、作者に向き合い、皆で心を重ねて作り上げた響きはこれからもずっと忘れない。