二人はすっかり日の落ちた空の下、帰り道を歩く。ユキコ=サンの見送りをナビア=サンが受諾した形である。
「そういえば、聞いて良い事かわからないけれどユキコ=サンはどうやってニンジャになったの?答えたくなければ無理には言わないで」
ナビア=サンの問いに躊躇なくユキコ=サンは答える。
「私は母親のお腹に居たときから…ね。だから良く覚えていないの」
「エ?」
「ワカルのは何かツライ事があって、カナシイがあったという事だけ。私が物心ついた時には父親も母親も居なくて、兄さんが私の面倒を見てくれた」
ナビア=サンはその言葉に立ち止まり、オジギをする。
「ゴメンナサイ…そんな事」
ユキコ=サンも立ち止まり、微笑みながら返す。
「いいのよ。別に答えたくない事ではなかったから答えたのだし。私は特に自分の出で立ちにコンプレックスはないわ」
ユキコ=サンはナビア=サンに歩みを続けるように促して続ける。
「兄さんも居るし、サトー=サンもシンセツしてくれる。今はナビア=サンともトモダチだし実際カチグミよ」
「ユキコ=サンのお兄さん、一度会ってみたいな」
「ウン。今は仕事で少し遠くにいるけれど、近いうちに帰って来るみたい。そうしたら紹介するわ」
ユキコ=サンの声は明るい。
「お兄さん、何の仕事をしている人なの?」
「今はヨージンボをしているわね。でも小さい時は手先が器用だったから機械の修理をしたり、子供向けのオモチャを作ったりしていたわ」
「ヨージンボ…?お兄さんもニンジャだったりするの?」
「ウン」
ナビア=サンは疑問を口にする。
「ユキコ=サンのペアレンツもニンジャだったのかな…」
その疑問にクスリと笑いながらユキコ=サンは答える。
「イイエ。違うみたいよ。もしニンジャとニンジャが子を生してもニンジャが生まれるとは限らないし、逆にモータル同士の子がニンジャとして生まれてくる事もある」
「そうなんだ」
「兄さんもボーンニンジャではなくて、私が生まれる前に成ったみたいよ。きっかけは教えてくれないけれど」
淡々と語るユキコ=サンが立ち止まる。ナビア=サンの自宅である、カチグミマンションの敷地近くに着いたのだ。
「またね。オタッシャデー」
「ウン。オタッシャデー」
名残惜しさから、振り返るナビア=サンだったがそんな彼女を後目にユキコ=サンは既にネオエオルゼアに吹く冷たい夜風に混じって、消えていた。今日も彼女は苦しむヒトを守るタダシイを行使しているのであろうか。ナビア=サンは顔を伏せ暖かい自宅に入って行った。
「今日はアソビにいこ!」
「アソビに…?」
いつも通りアフタースクールでの待ち合わせで、ナビア=サンは唐突に切り出した。
「そう。街に繰り出してアソボ!」
「良いけれど…私何をしていいのかわからないわ」
「ダイジョウブ!今日は私がインストラクションしてアゲル!」
ナビア=サンはユキコ=サンの手を引き、目的地をネオグリダニアの繁華街へと変えた。
「オゴモロカレーライスとダイアモンドシャーベットを二つづつ!」
「ハイヨロコンデー」
オーダーを聞いたメイド型ララフェロイドがキッチンへ消えて行く。
「ナビア=サン。私そんなに持ち合わせがないわ。このヨコヅナタイタンパフェをタイムアタックでカイシャクして無料に…」
「ダイジョウブ!今日は私がオゴルから!」
「次はショッピング!」
「ハイヨロコンデー」
「ユキコ=サンお揃いのブレスレット作ってもらお!」
「次はカラオケ!」
「ハイヨロコンデー」
「あ、イカケバブとフロシキクレープのヤタイが出てる!ヨッテコ!」
「…ハイヨロコンデー」
「そこのタノシイ・センターのニガオエ・クラブで記念に写真撮ろ!」
「…アッハイ」
「次はネイル・ウキヨエしてもらお!」
「マイリマシタ」
ユキコ=サンは大きく息をつく。
「スゴイバイタリティね…これがジョシコセーライフっていうのかしら」
ナビア=サンは意外だと目をパチクリさせる。
「疲れちゃった?ゴメンネ。少し座って休憩しよう」
「アリガト。体力は全然平気なんだけれどね…初めてニンジャで良かったと思ったわ」
二人は笑い合いながら、ベンチに腰を掛ける。
「前にも言ったけれど、やっぱりニンジャは強靭な身体能力とは裏腹にセイシンテキはモータルと変わらないのよね…私が未熟だから気疲れかしら。ゴメンナサイ」
ナビア=サンはかぶりを振る
「ううん。私も気にせず振り回しちゃってゴメンネ」
ララフェル族には少し大きいベンチから、ユキコ=サンは勢いを付けて降りる。
「さて、インストラクションはまだまだ終わりじゃないんでしょう?いつも厳しいインストラクションに我慢してくれているからね。私もガンバルゾー」