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徒然日記204【新説アニエン譚⑦:鬼ヶ島・常夏の門番】

公開
さあ、お話の続きをしましょう。
アニエンの見た景色や想いが、あなたの中でそっと灯りますように。



本編始

扉をくぐると、そこは常夏の島だった。
太陽が容赦なく照りつけ、白い砂浜はきらきらと光を返す。
遠くでは波が規則正しく音を立て、熱を含んだ風が肌を撫でた。

「どうなってるの?」

眩しさに目を細めながら、アニエンは辺りを見渡す。

ざわめきと歓声の中心に、ひときわ目立つ男が立っていた。
派手な服装のまま砂浜に立ち、軽く肩を回している。
拳銃を指先で弄ぶ仕草には、戦いへの緊張感は微塵もない。

近づくと、その男ははすぐにこちらへ視線を向けた。

「ん?なんだ?珍しいのが来たな」

「キミが元首の扉を守ってる鬼?」

「そうだ、俺はカイ。お前は?」

「ボクはアニエン」

「そうかアニエン。お前も俺と同じように角があるじゃねえか。仲良くやろうじゃねえの」

「さらわれた人たちを解放するように元首と話がしたいんだ。元首に会うための鍵を渡して」

一瞬の沈黙。
次の瞬間、カイは腹を抱えて笑い出した。

「さらった?お前ら、聞いたか?」

周囲からどっと笑い声が上がる。
見たところ人間の女性ばかりだ。
そこに怯えはなく、むしろ祭りのような熱気すらあった。

「こいつらは自分の意志で来てんだよ。稼げるし、飯もうまい。文句ねぇだろ?」

「でも、帰りたくても帰れない人や待っている家族もいるんだ」

アニエンは一歩、前に出た。

「だから、鍵を」

「いいぜ」

間髪入れず、カイは答えた。

「ただし、俺が認めたらな」

「どうやったら認めてもらえるの?やっぱり、戦うの?」

「いやいや。血なまぐさいのは趣味じゃねぇ」

そう言って、カイは砂浜を指さす。

その瞬間、地面がぼこりと盛り上がった。
砂の下を走る小さな影。

「サンドラットだ。砂に穴を掘って移動する、厄介なやつでな」

次々と砂が盛り上がり、無数の穴が開く。

「制限時間は十分。どっちが多く駆除できるかそれで勝負だ」

「わかった」

「逃げ回るからな。当てられねぇと話になんねーぜ?」

カイはにやりと笑った。
カイの顔に血の気がのり、取り巻きが慌ただしく立ち回る。
黒革と金属をあしらった戦闘服が手渡され、カイは軽やかに纏う。
金属のバックルが小さく鳴り、拳銃をゆっくり握るその所作に、歓声が重なる。

「これで完璧だぜ!」

動くたびに布や金属が光を弾き、カイは余裕たっぷりに振る舞う。
アニエンは杖をさらに強く握り、静かに呼吸を整えた。

カイはにやりと銀のコインを取り出した。
「この女神様のコインを、今からはじく。落ちた時が開始の合図だぜ。俺様にしか微笑まんがな!」

唇をそっと寄せるその所作に、アニエンは一瞬見惚れる。
そして放たれたコインを目で追いかける。綺麗な放物線を描いたそれによって跳ねた砂粒が小さな光を散らすのを見て視線を戻すと、カイはもう拳銃を構えていた。

乾いた音。
砂が弾け、飛び出したサンドラットが次々と倒れていく。

「はっは!遠距離からの正確な射撃は、俺の十八番だ!」

穴から顔を出した瞬間を撃ち抜く。
一発一体。無駄がない。

一方、

アニエンは杖を振る。

火球が放たれるが、サンドラットは砂の下へと潜り、魔法は空を切った。

「当たらない!」

穴から穴へ、音もなく移動する影。
広範囲を焼く魔法も決定打にならない。

銃声が重なり、カイのカウントはどんどん伸びていく。

「どうした?焦ってきたか?」

(このままじゃ負ける!)

胸の奥がざわつく。
力が足りないわけじゃない。
使い方が、間違っている。

アニエンは一度、杖を下ろした。

砂浜を見つめる。

穴。
点在する無数の穴。
そしてその配置。

(穴は繋がってるんだ)

「そうか、なら」

小さく呟き、アニエンは一つの穴の前に立つ。

杖を構え、深く息を吸う。

(全部を狙わなくていい)

繭の中の光が、静かに、確実に集束していく。

「ファイラ」

放たれた炎は、まっすぐ穴へと吸い込まれた。

一瞬、何も起こらない。

次の瞬間

砂浜のあちこちから、悲鳴のような鳴き声が響いた。

砂が爆ぜ、穴という穴からサンドラットが飛び出し、次々と力尽きる。

「なっ!?」

カイが目を見開く。

「お前、まさか、穴を伝わせたのか!やるじゃねーの!」

炎は地中を走り、
繋がった巣をまとめて焼き払っていた。

一度、二度。
アニエンは場所を変え、同じ魔法を放つ。

カウントが、一気に跳ね上がる。

制限時間終了の合図。

沈黙。

そして

「いやー!参った!」

カイは銃を下ろし、心底楽しそうに笑った。

「発想で負けたな。いい魔法使いだ、お前!認めてやるよ」

腰から鍵を外し、軽く放り投げる。

「約束だ。持ってけ」

アニエンは鍵を受け取り、深く息を吐いた。

「ありがとう」

「礼はいい。ただし、元首に会うなら覚悟しとけ」

カイは空を仰ぐ。

「鬼ヶ島は、もう昔のままじゃねぇ。俺は行き場のない人間たちをここで暮らせるようにしてやっただけだ。だけど、そうじゃないやつらがいる。すまないが、お前が確かめて来てくれ」

アニエンは鍵を握りしめ、扉へ向かう。
鍵穴に差し込み、ゆっくりと回す。

重く軋む音とともに扉が開き、
その向こうから、狂気と遠い笑い声が流れ出してきた。

アニエンは、一歩を踏み出す。
次の試練へ向かって。

本編終

ここまでお付き合いくださり、心から感謝します。
また次の物語で、アニエンと一緒に会いましょう~。

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アニエン譚スピンオフ
コメント(2)

Danua Chocolate

Carbuncle [Elemental]

あっちゃん、こんにちは😊 まさか初めて戦う相手が機工士?(なのかな?)だとは✨ 前回のおじいさんといい、今回の相手も悪い人とは思えないし、鬼ヶ島の様子はどうも単純ではなさそうですね🤔
でも攫われたとか不穏な話も聞くし……どうなるのか気になりますね😄

Annei Luulee

Carbuncle [Elemental]

だぬさん、こんにちは😊

機工士イメージで書きました。実は原作みたいなバージョンでばちばちに戦うシナリオでも書いてはみました。新説ではもうあれです、やりたいようにやってますw カイに関してははこっちのお話でもありかなあと思っています。鬼ヶ島編といいつつ前回設定を活かしつつ進めていきます、お楽しみください🤗
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