「おかえりなさいませ。ご主人さま!!」
いったい何が起きているのだろうか?
誰も居ないはずの家に、メンバーの一人だったララが出迎えてくれている。
それも元気一杯。満開になった桜の花びらの様な笑顔で・・。
まったく、
今日は夢から始まり、あるはずの無い幻覚を見すぎている・・。
幻覚・・すなわち俺の本来望むもの?
それとも単に過去の思い出にしがみついているだけ?
全身傷だらけの指先からは、床にポタポタと熱い液体が流れ落ちる。
「な・・何をボーっとしてるんですか?ほっほら、あちらの席へどうぞ」
出迎えてくれたララは今にも溢れそうな涙を瞳に溜め込みながら、
精一杯の笑顔で奥の席を指差した。
奥のソファーの両サイドには足を組んだミコッテと腕を組んだミコッテが
座っていた。
「ケアル」
ララが指を指したソファーの端に足を組んで座っているミコッテが俺に回復魔法を詠唱する。
先ほどまでの痛みが消え、傷も綺麗に治っていく。。。
あぁ、さっきのララの涙の意味はこれか・・。
こんな痛々しい姿でも笑顔で出迎えてくれて、
何かを感じているのだろうけど普段通りにしてくれたんだ。
こっちまでも涙が出そうになる。
「ほら、いつまでも立ってないで真ん中の空いている所へどーぞ☆」
可愛らしいウエイトレスさんに誘導されてソファーに腰掛ける。
「お飲み物は何がよろしいですか?」
「え?あ。じゃあウーロン茶で・・・」
「かしこまりました!!!ドンペリ一本頂きましたぁ!!!!」
ん?え?ドンペリ?
「ちょ!ドンペリって!?」
そんな突っ込みも待たずにウエイトレスさんはスキップしながら奥へと消えていく・・・。
ララの姿が見えなくなると、耳元で両サイドからミコッテがつぶやく。
「まったく。本当に世話のかかる人だ。あの子を泣かせたら許しませんからね!!」
「無茶ばっかりはダメですよ。何も知らないと思ってるんですか?」
相変わらずだ、このメンバー達は俺が何も言わずとも全て理解をしてくれている。
PTを組んだ時も指示なしで全員が全員をカバーできていたのは、こういった事だったの
だろう。
「よいしょ。よいしょ。」
奥の部屋から自分の体と変わらないくらいのボトル瓶をララが抱えてくる。
ボトルで前が塞がっており、前が見えているのであろうかww。
「お・・お待たせ・・・しましたぁ」
テーブルの端からズルズルと押し込むようにボトルを乗せ、
得意げにこちらを見ている。
「ありがとう。かわいいウェイトレスさんww」
「さて、お客様にお注ぎしないとアカンね」
ミコッテが慣れた手つきでボトルを開けてグラスに注ぐ。
ボトルから流れる黄金色はとても綺麗だった。
「もちろん私たちも頂いてよろしいのかしら?」
「あwどうぞw」
なんだろうか・・・入りはメイド○茶。
座ればキャ○クラ・・・相変わらずボキャブラリーの溢れる連中だw。
「それでは~・・カンパ~イ!!」
4人のグラスが重なり合い、綺麗な音色を立てる。
黄金色のグラスの中には小さな気泡が次々と上に昇っていく・・
その気泡は部屋の証明に照らされて、宝石のようにキラキラと輝く。
そして、グラスには自分を中心にして4人の顔が映りこむみ
なんてこと無い状況なのに何故か不思議と笑みがこぼれていた。。
「そうですよ。そうしてればいいんです。」
「・・・・」
「よいしょ!よいしょ!」
「フルーツ盛り合わせお待たせしました~☆」
え?いや?
頼んでないもの出てきて慌てる俺に突っ込む暇はなかった。
「ご馳走さまで~す」
「お客さん、景気がいいですねぇ」
後から高額なギルを請求されないだろうか?
そんな不安を抱えつつも、楽しい時間は過ぎていく・・・。
「夜も遅くなりましたね。御代は付けておきますからね!!」
「それじゃ、またね~♪」
「また、突撃しに来ますから覚悟しておいてね☆」
3人は席を立ち、玄関へ向かう。
俺はソファーに座りながら見送った。
玄関が閉まる隙間からチラッとこちらを振り返り優しい笑顔を残してくれた。
俺は楽しかった時間を惜しむかの様にグラスに残ったドンペリを一気に飲み干す。
背もたれに寄りかかり天井を見上げて目を閉じると何とも心地よい余韻に浸ることができた。
・・
・・・・・・・
・・・・・・・・・・
カチャン・・・キィィ
物静かな部屋に玄関の開く音が聞こえる・・・。
「自らの行いを償わず、我何を求めるか・・・・」
その声の聞こえる玄関に目を向けて体が凍りつく。
正面には黒魔道士が手のひらを俺に向けて詠唱をしている・・・
これは!?フレア!?
どうする・・テレポで転送。バリアで絶えるか・・・
いや・・・どれも間に合わない!!
さらに俺はありえない光景に気が付いて背筋がゾッとした・・・
詠唱をしている腕の先に見える顔・・・・・紛れも無い俺自身だ!!
しかし、そんなことに気が付いたところで対処する術はない・・
ただただ体の正面で腕をクロスして放たれるのを待つしかなかった。
「ちょ・・・!!なに・・・の!!」
→つづく