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『ふたりの白魔道士の雑談』

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私がその話を聞いたのは、クルザス中央高地・ホワイトブリムでギルドリーヴを遂行しようと門を出るときだった。

「ねえ、それからどうなったと思う?
 そう、彼女は復讐を決心したの。
 自分の最愛の家族を殺した魔物を退治するために、自分も魔物になろうとしたのよ。

 ……なぜそんなことをしたかって?
 彼女には力がなかった。
 腕力もなく、魔法の才能もなかった。
 お裁縫は得意だったけど、針で魔物が殺せる?

 冒険者に復讐の助けを乞おうとも考えた。
 だけど、手が震えて、どうしてもできない。
 がたがた震える手をおさえて、彼女はさとったわ。

 あの魔物の頭に剣を突き立てないかぎり
 返り血を全身に浴びないかぎり
 この手の震えはとまらない。

 彼女のは心当たりがあったの。
 以前、グリダニアのダルタンクール家の令嬢が、あくまと契約して妖異になった……。
 噂話でしかなかったんだけど(なにせ名門の醜聞だからね)、
 彼女は噂でささやかれていた白百合紋の館にいってしまった。

 もちろん、彼女は妖異になんかならなかったわ。
 だって、そこで妖異に殺されてしまったんだから。
 当たり前よね、なんのとりえもないただの人間が、簡単にあくまと契約できるわけがない。
 ただのむくろと化した死体は、風雨にさらされてすこしずつ腐っていった。

 ただ、かのじょのたましいは、執念ってやつかしら、そこにとどまりつづけた……。

 ……え? 彼女が死んでしまったらこの話は終わりだろう、って?

 本当に可笑しいのはここから。

 彼女の死体を食ったやつがいたの。
 なんの因果かは分からないけど、それこそ彼女の家族をみなごろしにした魔物だったのよ。
 彼女は魔物のおなかのなかで家族といっしょになったわ。
 たましいだけど、また一家で楽しくくらすことができるようになったの。

 幸福よね。

 一家は魔物のおなかのなかで、久しぶりの日々を過ごした。
 優しい母、たくましい父、可愛い妹。
 一家は、つぎつぎに入り込んでくる、にくとたましいを食べながら、まるで昔のように団らんした。
 さながら、生きているときと同じようにね。
 彼女は特に少年のが大好きで――これは生前から――
 いつの間にか、あくまへの復讐心も忘れ、彼女はにくをほおばるだけの存在になってしまった。

 ……あら。

 そんな顔して、平気?

 ……そう。

 どう、面白い話だったでしょう。

 ……。

 いま、かのじょは……どうしているのかって?

 さぁ……。

 おぶ……。

 …………。

 顔色が……悪い……?

 ……う……

 う゛……

 う゛ぉぉぇええぇぇっ!

 はぁっ……、はぁっ……。

 平気よ……。
 そ、そ……んな顔しないで……。
 今日のはずいぶん……元気の……いい……赤ちゃんだっ……みたい……。

 ……私?

 はは……お゛う゛ぇっ……。
 ぺっ。
 私は……人間よ……?
 彼女も人間……。

 みんな……、ヒトよ」

――この物語には一匹も、本物の魔族は登場しないの。
その白魔道士は最後にそう言ったと思う。
ポチ(マイチョコボの名前)がくぇっと鳴いて我に返った私は、ポチの頭をひと撫でした。
ギザールの野菜をポチに与え、ふたたび二人の白魔道士がいた場所を見ると、そこにはもう誰もいなかった。

不審に思った私は、彼女たちがいた辺りに歩を進めた。
まき散らされた吐瀉物は消えていた。
ただわずかに、白雪が円形に赤く染まっている。
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