キャラクター

キャラクター

  • 12

『ベビーベッド』 -ラストシーンー

公開
【まえがき】
クリックして表示クリックして隠す
この物語は『ベビーベッド本編』『ベビーベッド アフター』を読んだ方へ向けたラストシーンです。
上記の物語をお読みになった上でご覧いただけたら幸いです。


#-03 『ベビーベッド』表紙

著者:Akino Bluesky 画像:Emi Rose


『ベビーベッド アフター』
著者:Vein Badack









『ベビーベッド』 -ラストシーン-







━━━━押し潰されそうな闇の世界へと光が差し込み、救われるかのように、優しい泣き声で私は目を覚ました。

 木製のベビーベッドからそっと我が子“ブルー”を抱き上げると、ブルーは泣き止み、「マァマ、ママァ」と声をもらし、機嫌が良くなった。その姿を見て、急に安心した私の頬を自然に涙が伝っていった。

「……ブルー……ママね……とってもとっても悲しい夢を見てたの。優しかったベビーシッターさんがね、恐ろしい魔物になって御屋敷をどんどん壊してね……ママも必死に止めようとしたのだけれど━━」

 そんな夢の話なんていいからママご飯ちょうだい、と急かすかのようにブルーは「アウア、アウア」と私の目を見て声をかけてくれた。
 ブルーはもうすっかり乳離れをして、毎日離乳食を食べるようになった。すくすくと健康に育っているブルー。ああ━━この子を御主人様に早く見せてあげたい。
 すると、扉の向こうから気遣いを感じさせる小さなノック音がした。私は「起きているわ、どうぞ」と返すと、一人のメイドが丁重に入ってきた。

「奥様、おはようございます。クリスマスツリーの飾り付けが終わりました」

「まあ! もう完成したの! もしかして徹夜を……? 無理をかけてしまったわね」

「いいえ! エントランスホールにあんなに大きなクリスマスツリーだなんて、私たちもつい夢中になってしまいました」

 結った髪の毛が少し乱れたメイドが微笑み、私はそれを労う。

「ふふふ、ありがとう。でも……目の下のクマが、睡眠不足を物語っているみたいよ? 疲れが溜まって風邪でも引いたら大変、今日は1日ゆっくりと休んでね」

「奥様、ありがとうございます。さぁ、朝食に致しましょう」



 ブルーを抱きながらエントランスの階段を降り、ツリーを真下から見上げた。二階へ届く程の大きな背丈に、金銀と色とりどりの飾りが輝く。ブルーの瞳がそのきらびやかさを映している。
 私は希望の光に包まれるような気がして、しばらくじっと見上げていた。

「奥様、今日はとても冷え込んでおります。夜には雪になるかもしれないとのこと。ホールは肌寒いでしょう。温かいスープもございます、さあ食堂へ参りましょう」

 執事が穏やかな声色で導いてくれた。「ええ、ありがとう」とその場から歩みを進めた時だった。
 チャイムの音が、ホールに響いた。

「おや、こんな早朝に来客とは珍しい……」

 執事がホールの小窓から安全を確認後、慎重に扉を開けた。そこには、一人のスーツを着た男性が立っていた。
 私は……私は……その客の顔を見て、目の前が滲んで、何もかも見えなくなってしまった。

「……ただいま。今、帰ったよ」

 ああ、私の大好きな声。喉仏から響く低音が、心地よく耳から心に浸透していった。私はブルーを抱きながら、片手で涙を拭い、精一杯の笑顔を作る。

「ああ……御主人様……この日を……この日を信じておりました━━━━」




━━━━先日、光の戦士である冒険者“ヴェイン・バダック”が先導となり、ハウケタ御用邸の妖魔を排除、一時の安全が確認された。
 その後、グリダニアから派遣された調査団は、天井が崩れ去った部屋の隅に、大人が一人入れる程の鳥かごような檻を発見した。

 なぜか、その鉄の檻の中には、首のない人骨が二体寄り添うように座っていたという。
 小さな人形を、二人で大切に包み込むように抱きながら━━━━



「━━━━なぁ、ロザリータ」

「どうしたの? ブルース」

「次の仕事が落ち着いたら、のんびりと旅行にでも行こうか」

「まあ素敵! きっとブルーも喜ぶわ……!」










━fin━









【あとがき】
クリックして表示クリックして隠す
最後まで読んでくれた事に心から感謝します。

短編『ベビーベッド』の世界に、一人の冒険者が対面する物語『ベビーベッドアフター』をヴェインさんが執筆してくれました。
本当にありがとうございます。ベビーベッドの世界観を熟読した上で、ヴェインさんのスパイスがちりばめられた展開に感激しました!

そのアフターの物語を受けて、このロザリータサイドのラストシーンを追記させていただきました。
本編とアフターを読んでくれた皆さんが「私が冒険者ならどうしただろうか?」そんな想像をして、ラストシーンを読んでくれたなら作者冥利に尽きます。




Akino Bluesky & Emi Rose
コメント(12)

Uldura Gran

Chocobo [Mana]

うわ~!すっかりハウケタの世界に入り込んじゃいましたw
悲しくも悍ましい物語ですが、この世界観を胸に、またハウケタに赴くと更に楽しめそうですね!

Fiolia Titania

Gungnir [Elemental]

読ませていただきました
本編、アフター、そしてこのラストシーン
これで彼女は救われたのかな?
そうだったらいいなぁ

あきのさん、ヴェインさん、すばらしい物語をありがとう

最後に
ヴェインさんはああしたけど、自分なら・・・・ダメだ、きっとたぶん・・・

Vein Badack

Gungnir [Elemental]

あの残酷な決断は、間違いではなかった…と、言う事かな。
『二人』をきちっと『巡り合わせる』事が出来て、良かった。
哀しくはあるが、ある意味ハッピーエンドになったしな。

Ruka Hoi

Gungnir [Elemental]

ラストシーン!
ベビーベッド本編、アフター、ラストシーン
全部読み応え抜群でした…
正直、怖かったですw(褒め言葉

黒幕にも色々あるんだって考え方をしてしまう性格なので、もし自分が代わりに入っていたなら出れずに死んでいたかも…

最後のアキノさんの締めで再び彫られたお話にまた深みが増した感じがします。
ロザリーヌ…御主人様とどうか安らかに…

Mio Morisiro

Ifrit [Gaia]

切なく悲しいお話だけれど、引き込まれるような…!
最期にお2人はまた巡り会えて、これもひとつの幸せのカタチでしょうか…
素敵な物語をありがとうございます!
アキノさん、ヴェインさんのこれからのご活躍も楽しみにしておりますです!

Ruka Hoi

Gungnir [Elemental]

お名前ロザリーヌって書いちゃった…
ごめんなさいロザリータさん。
ハウケタに閉じ込めないでください

Izanami Mikoto

Gungnir [Elemental]

あの御用邸での出来事は、ふたりの想いが形になったっていうことなんですかねー
今は安らかに眠ってください(-人- )

Akino Bluesky

Pandaemonium [Mana]

ウルさん
ありがとうございます!
夢と現実の狭間をさまよい続ける悲劇にピリオドが……。
ハウケタのアナザーストーリーとして描いた作品でしたが、こうして世界観を掘り下げながら楽しんでもらえて嬉しいです!



フィオさん
ロザリータが最期に見た夢、いかがだったでしょうか。
本編は、心理的にホラーな余韻を残す結末として書いたものでしたが、アフターでヴェインさんがロザリータを解放してくれました。きっとエーテル界で、ブルースと幸せに暮らしてると思います……!

Akino Bluesky

Pandaemonium [Mana]

ヴェインさん
アフターの執筆お疲れ様でした!
最後まで読ませてもらったあと、このラストシーンをちゃんと形にしたいと思って、だだだっと書きました。
悲しい結末には変わらないんだけれども、解放されたことで、夢の世界では幸せに暮らしているイメージで終わりにしました。

改めて、アフターの申し出、ありがとうございました!



ルカさん
心理的ホラー作品として書いてみたので、怖い余韻が残ったと聞けて嬉しいです、ありがとうございます!

黒幕にもいろいろある……ロザリータは罪の意識が全くありません。ただ幸せを願い生きている(さまよう)。生きていると危険、犠牲者を出さないためにその危険をつぶす。正しい選択肢のひとつだと思います。
幻想がとけず、真実を知らぬまま、ロザリータは夢の世界にいられたので逆によかったのかもしれませんね(;_;)

Akino Bluesky

Pandaemonium [Mana]

カナミさん
ありがとうございます!
ロザリータの視点からすべて語られていますが、彼女の世界に引き込まれた時、彼女は何処から幻覚を見始めているのか、考えてもらえたら嬉しいです。

ヴェインさんのお陰で、ラストシーンを書くことができたので、感謝感謝です!



ルカさん
「ようこそお出でくださいました。今、 暖かい飲み物を用意致しますね。美味しい紅茶があるのです。主人がとても好きな紅茶でして……」

 ロザリータの紅茶を飲み干したRuka Hoiは気を失い、目覚めた時は薄暗い牢獄だった。
 その救難信号がヴェインに届く。愛用のサングラスの下には、迷いなき眼光と覚悟。

「━━ルカ、今行くぞ……!」



イザナミさん
もともとは、FF14のハウケタの本来のストーリーは違うアナザーストーリーとして書いたものでしたが、パラレルワールドが交差するという設定でヴェインさんが書いてくれました。

ダンジョンに然り気無く朽ちている骨ひとつにさえ、想像を超える物語があるのかもしれません……!

Emi Rose

Pandaemonium [Mana]

コメント遅くなっちゃった、ごめんね!
FF15楽しすぎた〜っw

ずっとひとりで子を守りながら孤独に生きてきたから、彼女の夢の中で(異世界?)で、一緒に居られるのならそれも良いのかもしれないね。
こちら側からの視点で見るとゾッとするお話だけど、あちらの世界では幸せなのかもしれない。

次回作は、つぼみとわかばのアレかな?(o^^o)
撮影画像編集がんばるよー。

Akino Bluesky

Pandaemonium [Mana]

わ……! こちらこそ返事が遅れてごめんなさい(;_;)

なんだろう、ロザリータが見てる夢と現実の間の世界にいる気持ちになりながら悲劇を書いていると、妙に心細く、怖い感覚になったんだよね(笑)
だからこそ、このラストシーンが残せてよかった!
改めて、ヴェインさんに感謝!

なので、次はやっぱり書いてて楽しい気持ちになれるやついきます!
ツボミとワカバのスタンバイよろしく~(笑)
コメント投稿

コミュニティウォール

最新アクティビティ

表示する内容を絞り込むことができます。
※ランキング更新通知は全ワールド共通です。
※PvPチーム結成通知は全言語共通です。
※フリーカンパニー結成通知は全言語共通です。

表示種別
データセンター / ホームワールド
使用言語
表示件数