2010年9月
新世界エオルゼアに降り立った初日。
世界は恐るべき遅延に満ちていた。
人口の一点集中により、白魔法ケアルは詠唱から発動まで60秒を要する超~役に立たない魔法と化した。
クイックサンドの正面扉は、プレイヤーが近づくと自動で開く仕組みになっていたのだが、遅延により一向に開かず「開かずの扉」となってモモディとの面会を遮っていた。
また、プレイヤーは用途不明の謎アイテムの山をNPC商人に売るために、クレジット決済でもしてんの?というレベルの遅延に耐えねばならなかった。
かばんの中身をからっぽにする、という行為に、実に5分かかるゲームだったのだ。
(アイテムを捨てようとしても同じである。捨てる動作1つ1つにつき、毎回クレジット決済並みの時間がかかったのである)
だが不幸なことに、プレイヤーを襲った衝撃は遅延だけではなかった。
むしろ、サービス開始時の遅延など歴戦のオンライン戦士にとっては予想済みのことであり、些細なこととすら言えた。
我々を最も混乱させたのは、フィールドマップの形状と、アイテムやスキルなどの名称であった。
馬鳥。
馬鳥とは、ファイナルファンタジー14における、チョコボのことであった。
「チョコボ」と書かずに「馬鳥」と書く、その意図が分からず、全プレイヤーは首をひねった。
そして、次々に目に飛び込んでくる謎すぎる漢字の羅列。
盾備、搦槍、森閑、幽遠、昂揚、荊棘、飛轢、剛速礫
絶技:霜剣、呪惑、散呪、絶技:呪禁、剛毅木訥、刻苦勉励、草木識
誰もついていけないセンスだった。
(というか読めない)
簡単に顛末を書くと、プレイヤーは怒ってフォーラムに突撃し、運営チームに謝罪させ、名前をすべて変えさせた。
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ファイナルファンタジーXIV ゲーム中の名称について
このたび『ファイナルファンタジーXIV』の名称の件で、ユーザーのみなさまに多大なるご迷惑、
ご不安をおかけしておりますことを深くお詫び申し上げます。
(中略)
そこで、同カテゴリに属するいくつかの名称を漢字により日本語化することで文字数の平準化を図ることにいたしました。
しかし、それが結果として読みづらい字や言葉を採ってしまったことはまことに配慮に欠けておりました。
ユーザーのみなさまがより親しみやすい名称となるよう、随時変更していく所存です。
再度、謹んで本件をお詫びいたしますと共に、何卒みなさまのご理解を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。
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名称の一部変更について(2010/9/29)
システムで表示される名称やアイテム名称などを変更しましたので、お知らせいたします。
主器 → メインアーム
副器 → サブアーム
左示指 → 左人差指
右示指 → 右人差指
馬鳥の羽根 → チョコボの羽根
透明硝子板 → ガラス板
蛸草のつる → モルボルのつる
冥鬼の翼 → アーリマンの翼
(以下略)
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こうして、プレイヤーは「チョコボ」を運営の魔の手から救ったのであった。
ただ、運営チームも慌てて変更したものだから、本来「チョコボ」とすべき所を
チョコポ
にしてしまうというミスを重ね、馬鳥事件は伝説へと昇華したのだった…。