エオルゼアデータベース

　来歴を象徴する仮面とそれに連なる細工部分、”かの神”の使徒であった事を明示する紫水晶部分、紫が極まり黒化した様な色味の金属的な部分、先端に埋め込まれた赤い宝玉、と多様な部材で、しかし華美や雑多にならず、視線を集めるべく強調配置されていると窺える仮面以外は落ち着いた趣にまとめられています。しかし一見しての水晶部分は、それ自体一つの層として造形されたものが部分的に表出する構造になっており、それゆえ往々にして”おもて面”のハッキリしている武具で簡素になり勝ちな裏側も、美しい様子になり得ています。そしてこの紫水晶部分は、暗所だけで仄かに光って見えるエフェクト調整になっており、仮面の意匠の重みと共に、メインクエストのドラマへ想い馳せさせてくれる様な、格別の工夫が為されています(夜天下で気付いた時の感動と言ったら！)。
　構造の他の点でも、同じく簡素に扱われがちなグリップにも細かな細工意匠が施されていて、表示されない部分への配慮(というより恐らく拘り？)が、とても嬉しい造りになっています。
　加えて更に「素手の拳骨面からなるべく近いインパクト点を持つ」「手の甲からなるべく浮かない」「横に広すぎない」事で、基本的に直線的な上半身の攻撃モーションの「膂力感」を活かしうる、という個人的な(あくまで個人的な)尺度を以て評価をしてきた闘器に於いて、その３点を漏れなく備えている道具としての姿にも、大変満足感を覚えます。

　FF14の漆黒編という素晴らしい物語とそこに生きたいモンクであった自分にとって ”激情”の銘と共に”カタチ”で確かに寄り添ってくれる、造形に於いても意味に於いても極めて美しく思えるデザインでした。上記の様な「物語を込め得る」「形として美しく理にも適っている(と素人ながら思える)」ものはこれまでも数点頂けていましたが、その総合的なクオリティに於いてこの『ゼロス』は、新生から触れてきた数多の中でも際立っていると思います。実装から大分間が開いた今更のコメントになりましたが、デザインとモデリングをして頂いた担当の方々に、感謝と共に届けば良いなと、投稿する次第です。