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物語劇場「帰還/ふたりの旅立ち」台本(ト書きなし)

公開
演目:「帰還/ふたりの旅立ち」(2025年1月25日初演 2月1日・2月13日・2月20日再演)

?「ただいまぁ。戻ってきたぞー!」

?「お帰りなさい! ああ、良かった;」


妻「暗くなっても来ないから、何かあったのかと思って心配したのよ;」

夫「乗り合いのチョコボキャリッジが壊れて、足止めをくらってたんだ。」

夫「もうこんな時間になってしまったな。」

妻「来ていた子供たちは、待ちくたびれて帰ってしまいましたよ。」

夫「そうか、顔を見るのは明日か。」


夫「むう;」

妻「あっ、だいじょうぶ?」

夫「ああ。」

夫「だが、前と同じように歩けるには、あと半年ぐらいかかると、治療師が言っていた。」

妻「良かった。‥‥あなたが負傷したと聞いたときには、不安でたまらなかったわ。」

夫「心配をかけて、すまなかった。」

夫「まあとりあえずは、自分の足で帰ってこれたようだな。」

妻「うん‥‥着替えて、待ってて。シチューを温め直すね。」

妻「すこし、飲みますか?」

夫「そうだな‥‥治療所では、悪いことが起きるといけないから、といって、」

夫「ただの一滴も、酒を飲ませてはくれなかったよ;」

妻「じゃあ、今も飲んだらダメなんじゃないの?」

夫「そんなことはないぞ。‥‥ただし、気をつけて飲め、とは言われた。」

妻「それなら、大丈夫ですね。」

・・・・・・・・・・・・・・・・

夫「‥‥それでな、そのときのキャリッジ御者(ぎょしゃ)の、驚いた顔っていったら!w」

妻「まあw」

夫「‥‥ところで、私の契約期間はあと一年残っているが、」

夫「一段落したら、退役を申請しようと思う。」

夫「帝国との戦が終わって、黒渦団も兵隊を整理したがっているしな。」

妻「そうですか‥‥辞めるなら、職を探さないとね。」

妻「あ、そうか。」

夫「うん、甲冑師ギルドで雇ってもらえるかどうか、話をしに行ってくる。」

夫「ギルド長のハ・ナンザとは顔なじみだしな。」

妻「板金をたたいて、チョコボキャリッジを直してしまうあなたなら、」

妻「きっと歓迎されるわ♪」

夫「そうさ、前線では他の部隊の連中から、よくこう言われたものだ。」

夫「お前の隊は修理屋いらずだな、ってなw。」


夫「腕を上げて、職人になれたら、流しの修理屋でもやってみようかなあ。」

妻「あらあら、そうすると、また旅に出てしまうんじゃない?」

夫「まあな、でも、前線での戦いにくらべたら、ずっと安全だろう?」

妻「うーん。それについては、またあとで話をしましょうw。」

夫「いずれにしても、上官を気にしないで、好きなだけハンマーを打てるなんて、」

夫「もうわくわくするなあ♪」

妻「おやおやw‥‥さあ、食べ終わったら、パジャマに着替えて。」

妻「今日は遅いから、もう休みましょうね。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・


夫「あああ!‥‥来るな!来るなあっ‥‥!!」

妻「どうしたの!」

夫「はあ、はあ‥‥;」

妻「悪い夢を見ていたのね‥‥。水を一杯飲んで。」

妻「よかったら、どんな夢を見ていたのか、教えてもらっていい?」


夫「‥‥あれは、ギムリトダークの戦場だった。」

夫「私の小隊が隠れていた塹壕(ざんごう)に、魔導キャノンの砲撃が着弾した。」

夫「‥‥降ってきた土砂を払いのけて、向こうにいる戦友のほうを見たら、」

夫「弾片が当たり、頭の半分が無くなっていた;」

夫「にもかかわらず、そいつは立ちあがり、こちらへ歩いてくるんだ;」

夫「私に向かって、大丈夫か!ケガはないか!って言いながら;」

夫「そんな夢を見ていたんだ‥‥;」


妻「‥‥私は、あなたの背負っているものを、肩代わりしたりはできないけれど、」

妻「祈りの書があるから、枕元で読んであげる。」

妻「さあ、横になって目をつむって。」

夫「ああ、頼む;」


・・・・誰がために嵐は泣くのか‥‥涙は我らの肌を伝う
・・・・過ぎ去りし日々‥‥罪に染まりし我らの魂
・・・・明日もまた重荷を背負うのか‥‥心は痛む
・・・・深きにある魂が、再び光を見出しますように・・・・
・・・・悠久の風が大地へ降り注ぐ・・・・
・・・・起て、そして胸を張れ、我が友よ!
・・・・我らの旅は、終わり無きがゆえに‥‥


妻「‥‥おや、もう眠ったみたい。」

妻「あなたは、私の想像もつかないような、遠い、遠いところまで行ってたんだね。」

妻「これまでだって、凄惨(せいさん)な場面をいろいろ見ていたはずなのに、」

妻「私の前では一度だって、弱音を吐くようなことは無かった。」

妻「今までずっと、怖れや怯えをおさえこんでいたのね。よくがんばったね。」

妻「戦いで、命を落とした人もたくさんいるのに。‥‥私は幸せ者だわ。」

妻「これからは、大勢の兵士が戦から帰ってくる。彼らのパートナーたちもまた、」

妻「同じように、相方の苦しみへ直面することになるのだろうか。」

妻「私が、彼らや彼女らのために、何かしてやれることがないかしら?」

妻「そうだ、心療専門の治療師が、今、ブロンズレイクからここへ来ているんだった。」

妻「行って、相談しようっと。」

妻「そう。あなたと一緒に、私も新しい旅に出ます。」

妻「また忙しくなるね。‥‥今はゆっくりおやすみなさい。朝陽が昇るまで♪」
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