こんにちは。Biskaです。
月での出来事を、少しずつ書き留めています。
今日は、嘆きの海で出会った“月の仕組み”と、そこで再び出会えた存在のことを。
書き留めておきたいこと
・月は、ただの衛星ではなかったこと
・ハイデリンの使い魔「アルゴス」との再会
・そして、月で動き始めた新しい計画
「月が船でした、なんて報告しても冗談にしか聞こえないわね。」
ヤ・シュトラの言葉に、思わず苦笑してしまった。
けれど、月の監視者から語られる話は、その冗談のような事実を少しずつ現実に変えていく。
終末に見舞われたとき。
この星の生命を月へと運び出す――。
それが、ハイデリンが残していた備えだった。
サンクレッドは腕を組みながら、少し険しい顔で言う。
「つまり……逃げ出すってことか?」
その言葉には、納得しきれない想いが滲んでいた。
けれど今は、その答えを出す時ではない。
私たちは監視者の導きに従い、月の裂けた大地を進む。
やがて辿り着いた洞窟で、再び姿を現したのは――
あの光をまとった犬。
アルゴス。
ハイデリンの使い魔であり、月の番犬。
現れたアルゴスは、静かにこちらへ歩み寄り、
そっと鼻先を寄せてきた。
どうやら、覚えていてくれたらしい。
「珍しいな……ずいぶんと好かれているようだ。」
監視者は少し驚いたようにそう言った。
アルゴスは本来、あまり懐く性質ではないのだという。
それでも彼は、当たり前のように私たちのそばに立ち、
再び月を渡るための案内役を引き受けてくれた。
大きく裂けた月の大地。
その向こうへ渡るため、私たちはアルゴスの背に乗る。
足を滑らせれば、文字どおり「月の底」へ真っ逆さま。
それでも、不思議と怖くはなかった。
アルゴスがいるからだろうか。
そこで、月の監視者は足を止めた。
「私は月の機能のひとつに、形を持たせただけの存在だ。」
ハイデリンの古い知人を模して作られた存在。
生命とは少し違う、それでも確かにここに在る存在。
「それでも、ここから見守っているよ。
ハイデリンに愛された、今を生きる命たちを。」
その言葉は、静かで――
どこか優しく響いた。
そして私たちは、
月の内部に広がる巨大な施設へと辿り着く。
どこかアーモロートの街並みに通じる、不思議な建造物。
静まり返った空間の中で、突然明るい声が響いた。
「親愛なるレポリットの皆様、ごきげんよう!」
……レポリット?
戸惑う私たちをよそに、その声は続く。
ゾディアークの消滅によって、
月は檻としての役目を終えた。
そして――
アーテリスの生命を運ぶ船となる。
つまり。
「ついに、わたくしたちの出番ですわ!」
どうやら月には、まだ知らない住民がいるらしい。
しかも、とても元気そうな住民が。
月の旅は、まだ続いていく。