こんにちは
みーさまです。
最近FF小説の小説を書いているのですが、
2話をアップします。
↓第1話
https://jp.finalfantasyxiv.com/lodestone/character/42162688/blog/5279075/*紅蓮編~漆黒編のネタバレを含みます。ご注意ください。--------------------------------------------------------------------
クロードに仲間に誘われてから数日。
私たちは、そんなに悪くないペアだと思っていた。
近接職と後衛職で、クロードが敵を集め、私が倒す。
人数不足は魔法でカバーする。
私は錬金術も学んでいるので、大抵の怪我は薬でなんとかなる。
そうギルドで打ち合わせて、戦いへ挑んだのが先刻。
ここはカストルムなんたら。帝国軍の基地である。帝国語は、似たような響きが多くて覚えられない。
クエストの内容は帝国軍の基地を強襲する陽動。小数での潜入し、私の魔法で兵士たちを混乱に陥れる。ちょうどいい難易度だと思われた。
鉄巨人が基地の周りを徘徊するように20ヤルム先に立っている。良い間合いだ。いつものように黒魔紋を置く。
「フレ……。」
ちょうどフレアを放とうとしたところに、いきなりクロードが出てくる。急いで詠唱キャンセルしなければ!
「射線に飛び出さないで!危ない!」
「わ、悪い!」
先ほどから戦っているが、毎回このようなやり取りをしている。
クロードが私を無理にかばおうと前に出てきてしまい、魔法が撃てないのだ。
その間に鉄巨人が距離を詰め、私の近くまで来てしまう。ここまで接近されると回避する他にない。
そうこうしているうちにクロードがヘイトを取り戻し、鉄巨人が私に背を向けた瞬間。
魔法であっけなく仕留める。
……どう考えても彼の動きが悪い。
彼は新米ではなく、場数もそれなりに踏んでいるだろう。
大方、例の”魔女”を失ったことが尾を引いているのだろう。
だが、ここは戦場であり、昔の感傷に浸っていられる状況ではない。
「今、連携を乱すことは死に直結する。気合を入れて。」
「そうだよなぁ……。」
顔を俯かせ、うなだれている。年に似合わず、そういう癖があるらしい。
「今まで、だますようなマネをしてすまねえな。」
「どうしても後衛が心配になっちまってなあ。」
「ソロでできるクエストばかりこなしていたんだ。」
「でも俺は過去と決別したい。いい加減、弱い自分と向き合わないといけない。そう思って、お前に声をかけたのもある。」
この前はおちゃらけていたが、彼なりの覚悟はあったようだ。
「……わかった。」
私はパーティで戦うのも初めてで、誰かが弱みを見せてくる、というのも当然初めてだった。
「私たちは、”仲間”。私なら、私の魔法なら、きっとあなたのこともカバーできる。」
パーティに誘われた時。握手をした時。少し、嬉しかった。
そのことを思い出して、うなだれているクロードに手を差し伸べる。
今度はこちらから。
多少間があり、クロードが顔を上げる。
「”魔女”にフォローされるとはな。」
すこし吹っ切れたような顔をしていた。
「あなたは心配しすぎ。」
「私はその辺にいるただの黒魔じゃない。」
「その斧で殴ってみて。私を。」
「なにを馬鹿な…。」
「いいから。」
彼が本当に斧で殴れるわけもなく、柄で軽く私の肩を小突く。
私は全く動かなかった。素手で軽く殴られる。両肩を押される。
体が大木になったかのように微動だにしない。
「これが私の”マバリア”。」
「わかっちゃあいたが、ただ者じゃないな……。だが、俺も戦士の端くれだ!うおお!」
……しばし時間が経ち。
「ハァ…ハァ…。バケモンかよ……。」
クロードは私をなんとか一歩だけでも動かそうとしたが、むなしい結果に終わった。
疲れ切り、肩で息をしている。
「私は皆が言う”化け物”。だから安心して敵に突っ込んでいって欲しい。」
—-戦士の俺より硬いんじゃねぇか……?
小声で何か言っていたが、よく聞こえなかった。
—-------------
発破をかけたのが功を奏したか、そのあとの戦いでも彼は動けるようになっていた。
日に日に連携が良くなっていく。通常のPTが苦労するクエストでも難なくクリアできるようになった。
そんなとある日、ギルドでクエストを受けようとした時のこと。
私がクエストの資料を読み込んでいると、大男が声をかけて来た。
確か、多少名の通っているモンクだったはずだ。スキンヘッドの顔の濃い男。
だが、私との実力差は歴然としている。
「おいおい、”魔女”さんよ?」
「その依頼を受けてぇみてぇだが、やめときな。」
「それは俺らのパーティーがもらう。」
大男の影で資料が読みにくい。
「……あなたは何を言っているの?冒険者にそんな掟はない。」
顔を見ないで、資料に目を通す。場所はハウケタ御用邸、ね……。
「アンタたち二人には荷が重ぇよ。」
「いいか、俺はこんなナリでもここの古株だ。こいつは親切心で言ってるんだぜぇ?」
ボスはハルカリナッソス……。注意点:早く削りすぎないこと。必殺技のブラッドレインが強化される……、と。私はメモに書き写す。
「おい!話聞いてんのかよ!」
体もでかければ声もでかい。
「……ごめんなさい。聞いてないわ。」
知りたいことは大方わかった。あとはクロードと打ち合わせして……。本番ね。
「無視しやがって、てめぇ……。ふざけてんのか……?」
青筋を立て、指を鳴らしている。まるでどこかのモンスターのようだ。
「あの腰抜け男に、このダンジョンは無理だって言ってんだよ!!」
「……。」
「……今、なんて言った?」
顔を上げると、無言で右手にファイガを焚く。左手にはファイジャ。
この男ではないが、久々に頭に来てしまった。
「ま、まった……。」
膨れ上がった私の魔力を恐れたのか、腰を抜かしている。
いつの間にか集まっていたギャラリーも、そそくさと距離をとりはじめた。
「……相当に大事らしいな?」
「すぐに人を殺せるような力を持つお前を、」
「あいつはどう思うんだ?」
青筋を立てて怒っていた男がいつのまにか落ち着いている。
「……私は、」
私の口から続く言葉は出ない。
「……この依頼はもらっておくわ。」
すっきりしない気持ちのまま、ギルドを立ち去った。
—-----------
魔に落ちた洋館の攻略。通称ハウケタハードと呼ばれている。
ギルドにあった資料によると、ボスを削りすぎると攻撃が強化され、パーティが全滅する恐れもあるらしい。いつも以上に連携が重要と言えた。今の私たちにとってはどうだろう。そういう意味で、試金石であった。
「どうした?元気が無いような気がするが。」
「自慢の耳がしおれているぞ?」
最近気が付いたが、この男はがさつなようで勘が鋭い。
「……。」
私には、先ほどの大男の言葉が棘となって心に刺さっている。
「何でも無いわ。」
……いけない。ダンジョンに集中しないと。
ただでさえ二人で攻略しているので、些細なミスが命取りになる。
そう気を引き締めて洋館に入っていく。
道中は手こずるような敵もおらず、難なく踏破していく。
問題なのは例のボス戦。洋館の主、ハルカリナッソスである。
手下のサキュバスを呼び出し、こちらは数的不利になる。
クロードのヘイト管理が重要な局面。
彼は、挑発、
クロードの動きを見ていた。最近は行動が洗練されてきており、思わず私が見とれるほどだった。
更に、先ほどの大男の言葉が気にかかる。私は彼の仲間にふさわしいのだろうか……。
ーーーおい!!向かったぞ!
はっと気づくといつのまにかこちら側にボスが向かって来ていた。敵の有効射程に入ってしまっている。マバリアのリキャスト、、、は間に合わない!
—キャーハハハ!!!
サキュバス系モンスター特有の、つんざくような声が耳を刺す。
魔力弾をばらまいてくる!!!
格上の装備なので防御力には問題ないはずだが、狙われた場所が悪い。
「うっ……ぐ…」
攻撃がよけきれず、弾が頭に直撃する。受け身もろくにとれず、吹っ飛ばされる。
完全に私のミスだ。
がつんとした衝撃の中、横目で見る。
朱い目のバーサーカーと化し、暴れまわる男。
—おおお!!よくもアイツを!!
頼もしい所もあるのね……。
わたし、も、もっとしんらい、してあげないと………。
意識が途切れていく……。
—----
目を覚ます。ここはグリダニアの宿屋か。
外を見ると夜になっている。半日ほど、意識を失っていたようだ。
どうやら、クロードがここまで運んできてくれたらしい。
装備に金をかけていてよかった。ロウェナ、あのやり手の商売人にはさんざんふんだくられてきたが。
—これで命が助かると思えば良い買い物じゃない?はい、まいどあり。
ほくほく顔でそう言われたのを思い出す。貯めこんだ詩学がほぼすっからかんになったが、実際、あの女の言う通りだった。
……はぁ。ため息をこぼす。
久々にやってしまった。
ベッドの横に目を向けると、クロードが椅子で寝息を立てている。看病してくれていたらしい。
寝ているのを承知で話しかける。
「クロード。」
「私には、何もないの。」
「自分が普通じゃないって…、あなたに接して、やっとわかってきた。」
「ろくに世間を知らないまま、両親も居なくなった。」
「ギルドでも、腫物に触るよう。」
この男とパーティーを組んでから、毎日が変わった。
クロードは顔が広いらしく、街でも知り合いが増えた。
なじみの居酒屋、食堂。
こんなに、安くて美味しい物があるなんて知らなかった。
誰も彼も、私を恐れたりしない。信頼できる人たちだった。
いつでもふざけたことを言っていて、周囲はいつだって明るくなる。
みな、楽しそうにしていた。
「でも、私は魔法しか……ろくに知らない。それが、私の世界の全て。」
私は気がついてしまった。自分の恐れに。このとりとめのない日常が、関係が……壊れてしまうのを。
……自分の躰を抱きしめる。手先が冷えている。
「あなたが居なくなったら私は…。」
「昔に戻ってしまう。何もない。ただ何もない空虚な日々。」
「…………それは、寂しい。」
私の言葉を察知したのか、クロードががば!と起きる。
ーーーー大丈夫か!?怪我はないか!?
「!」
私を見るなり、必死な様子で両肩を掴んでくる。
硬く、ごつごつした両手。私より体温が高いのか、暖かさが伝わってくる。
私を見つめる眼差しはただただ、優しい。
急な行動に驚いて、少しの間声が出ない。
少し気恥ずかしくて、そっぽを向く。
「……大丈夫。」
「……ありがとう。」
彼は一際安心した表情を浮かべ、手を離す。
「すまん、俺が打ち漏らしたせいだ。」
「……あなたのせいじゃない。」
「……そうか。いずれにせよ、無事で良かったな。今日はもう遅い。ゆっくり休んでくれ。」
少し安心した様子を見せ、彼は自分の部屋に戻って行く。
……無意識に、さっきまで触れられていた肩をさする。
彼の暖かさが、じんわりと残されていた。
第2楽章
孤高の魔女は、”仲間”と踊る 完