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エオルゼア古聞奇譚5「山小屋」

公開
 ◆               ◇
◇ エオルゼア古聞奇譚5「山小屋」 ◆ 
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エオルゼアを舞台とした物語の掲載を始めました
📓エオルゼア古聞奇譚1「森の家」
📓エオルゼア古聞奇譚2「嵐の前に」
📓エオルゼア古聞奇譚3「予兆」
📓エオルゼア古聞奇譚4「異変」
📖エオルゼア古聞奇譚5「山小屋」

歩き始めて小一時間は経っただろうか。

さすが山賊だ。夜道でも迷いがない。わたしとシアは男の背中を足早に追いかける。
月が出ていればそれなりに明るいが、今は星だけが頼りだ。
所々丸太を並べただけの杣道が、星明かりに照らされて、くねくねと白く浮かび上がる。

やがて道の先に、かがり火に囲まれた山小屋が見えてきた。山小屋と言っても、中心の建物を取り囲むように見張り台や罠が仕掛けられており、ちょっとした要塞のようになっている。「ナイアンビーの山賊」の本拠地、「ホウソーン家の山塞」だ。


男は迷いなく山小屋の中に飛び込んでいく。わたしとシアがそれに続く。

ベッドには「虫の息」という表現がぴったりくるような、ぼろぼろになった怪我人が横たわっていた。生命の灯火は、ほんの一息で吹き消されてしまいそうだ。

わたしは、杖を両手で持ち、意識を杖の芯に集中する。わたしの心核から送り出されたエーテルが、すっと杖に入る。その瞬間、両手を広げて、空間に生まれた「何か」を怪我人に送り込んだ。
「わあっ」
感覚の鋭いシアには、わたしが操るエーテルが視えたのだろう。
これで、生命を削り取っていた原因は吹き飛んだはずだ。

あとは……

わたしは、練り上げたエーテルを杖に送り込み、ゆらゆらと杖を動かして、杖の先から少しずつ怪我人に注いでいく。空になりかかった水瓶に、波立たないように、ゆっくり水を注ぐイメージ。

5分も経つと、怪我人は目を開けた。碧い目をしたエレゼンの男性だ。
「ああ、リグル、逃げてくれ。お願いだ」
目を宙に泳がせ、絞り出すように言葉を発した。
「何があったんだ」
後ろから低い張りのある声がした。
細いが密度の高そうな身体、茶色味を帯びた鋭い目、少しだけ髭を生やした口元。
ラウル・ホウソーン、この山小屋の主だ。
「南部森林の古い街道を進んでいるときに、ふいに襲われたんです。真っ黒い魔物に……」
そう言うと、怪我人は身体を抱えて震えだした。
「真っ黒い魔物だと?そいつは、どんな獣に似ていた?」
「獣……?いえ……あれは獣などではない」
「人だと言うのか?」
「いえ、人でもない。確かに2足で歩く姿は人に似ている。しかし、腰より長い骨みたいな両腕に、長い鋭い爪が付いていました。真っ黒な翼も。そいつは頭上から急に降ってきて、戦闘を歩いていた戦士を一撃で……」
「ん?おい、どうした!?」
エレゼンは意識を失っていた。
「リリィ、殺しちゃったの?」
「っ!シア、人聞きの悪いことを言わないでください。ちょっと手元が狂っただけです!」

思わず杖を止めてしまっていた。
「彼は、もう限界だったのでしょう。そのまま休ませてやりましょう。もう生命の危険はありません」
わたしが、そう言うと、ラウルは、
「感謝する」
とだけ短く言った。
「リリィ、もう夜も遅い。今夜は泊まっていったら?」
声をかけてくれたのは、ラウルの妻のエラだ。山賊の妻らしく、威勢のよさが目立つが、ラウルには足りない気遣いをしてくれる。

わたしは、そっとシアの顔を見た。

シアは今の話を聞いてどう思ったのか?それが気になって思わず手を止めてしまった。
シアの表情からは何も読み取れない。
「わかりました。世話になります」
「よし、準備はできてるんだ。付いて来な」
さすがエラだ。この展開は見越していたようだ。残念ながらお風呂はないが、家まで帰る気力も湧かない。治療したとはいえ、エレゼンの容態も気になる。以前は、よく、この山小屋に泊まったものだ。たまには、野趣溢れる寝床で眠るのもいいだろう。




第1話で「5話ぐらい話ができている」と大口を叩きましたが無事に5話まで書き上げることができました。毎回、20人ぐらいの方が「いいね」を押してくださいます。例え20人でも読んでくれている人がいることは、わたしに書く勇気を与えます。

物語はわたしが考えているのですが、自動的に言葉が生み出されているところもあり、書いてから「え?そうなの?」と思いつつ、地図を見たり、実際に花蜜桟橋を見に行ったり、年表を見たりして、つじつま合わせに必死です。

ネタバレになるので、まだ言えませんが、あなたの知っているグリダニアとはちょっと違うのです。

FF14はゲーム仕様のため、魔法や転移が都合よくできるようになっています。「現実的にはこうだよね」って部分と、「まだ時代的にこれは使えないよね」って部分が入り交じって書いているので「ちょっと違う」ってなってます。ごめんね。今はこれ以上は言えない。もし考証的におかしなところがあったら直すので教えてくださいね。

* … * … * … * …* … * … * … * …* … * … * … * … *
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コメント(2)

Chihaya Akasaka

Gungnir [Elemental]

あやちゃん、おはようございます♪

空になりかかった水瓶に…の段落、情景のさまが目に見えるようで、素敵です。
比喩がとても綺麗ですね♪☺️🥂

Ayana Spinel'

Yojimbo [Meteor]

ちはちゃん、こんにちは。物語を作るときは先に映像(音付き)が生まれて、それを文に変換していきます。ほんとはアニメーションでも使えたらイメージ通りになるんだけど、読み手が好きなように、その人なりの映像を描けるところが、物語のいいところかもしれませんね。書き進めるほどに映像が明確になってきたので、描写に時間がかかります。微に入り細を穿つと読者が飽きてしまうので、バランスが難しいところかも。お褒めの言葉ありがとうございます。
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