俺はまた姫人形を連れて、旅に出ていた。今度はリムサだ。女の子の祭りってのはいいねぇ…。華やかで粋だ。散り際のいい花みたいに、咲いて、老いて、目も向けられなくなっていく。それまでが何だか美しいじゃねーか。俺は残念ながらババァには興味が無いけどな。まったく。モモディちゃんがぎりぎりセーフってとこだな…。歳がわかんねーから。ミラさんは微妙だな。あのアルディスの話でヒステリー起こしてたからな…。余裕のない女は苦手だ。あと歳が微妙だし。
リムサでRelenaちゃんを探したが、行き違いらしい。いない。顔見知りのモーグリに話を聞いたら、故郷への手紙を預けた後、グリダニア→ウルダハ→グリダニア(以下エンドレス)ツアーに行ったんだと。何でもしばらくリムサに戻らず、いろいろ手帳を埋めるためらしく、いやはや忙しいことで…。しかし、それは早く戻って案内して差し上げないとなあ?あの寂しがり屋のお姫様には俺が必要だろ?と勝手に決めた。
早く帰ろう、用を済ませて。だって…リムサって…高いじゃん…。海に落ちそうじゃん…。早く帰る。
(そういやあのバカに、気が緩んで今まで隠して来た高所恐怖症のことうっかり話しちまったら、クソ笑いやがったな…あとで覚えてろよ…)
しかしこの姫人形、しずしず歩いてんのに、俺が高速でスプリントしたら、高速でしずしずするんだが。何かウケる。いや、可愛いんだ、それが。けなげな女の子って可愛いだろ?それもクールに。…あー、やっぱ早く帰ろう。きっとこの姫人形にもそれがいいんだし。陰謀渦巻くウルダハで、買い手がつかない人形の行く末なんか…ひとつに決まってるだろうからな。
あんまり気にしなかったが、執事王の隣の姫が、割といい感じのイヤリングを売ってた。季節のものだから身につけておくか。俺はそういう時候は大事にすんだよ。こだわんの好きだし。…これも内緒だぞ、と姫人形にだけは話しておいた。だって今あの子いねーから、なんか…いや、らしくない。
ウルダハに戻ると、何やら人形の様子がおかしいとセレンちゃんが言う。それはそれで納得がいった。エドヴィア姫の人形なんだろ?じゃあ…富豪に嫁入りなんて、気が乗らないんだろ。
といいつつ、俺は一応用をこなす。途中で一休みした桃の木の下で、姫に話しかけてみる。
「なあ、もうすぐお別れか?寂しくなるな」
俺には姫人形の感情なんかわからない。いつも通りしずしずしてるように見える。
「なんなら俺が嫁にもらってもいいけど?君可愛いし」
可愛いしか言ってねーが、それは一種のステータスだ。ほら、ギャルは可愛いしか言わねーとか言うあれに則ってる。
「自分のじゃないマメット口説いてもしゃあねえよなー。つか人形口説いてどうすんだ俺…。寂しい非リアの仲間入りかよ」
伸びをして、俺は用事を片付けることにした。愛しいRelena姫の方を探さなきゃいけない。どっかにいるはずだから。
用事を片付け、俺は嫁に行くマメットと別れて…る、はずだった。やっと見つけたRelenaちゃんが、この行事にまだ参加してなかったらしく、にこにこしている。
「わぁ…素敵じゃない。Armin君、どうしたの?その子」
「…」
そう。なんか…結局、嫁にもらうことになったみたーい。女の子ってこわーい。
エドヴィア姫、でもあれは約束だからな?君だけに話した秘密は、君だけのものだから。…あのバカを立てるような無様なことは、これからは君だけに話すことにするよ。…つか、そういう言い訳、な。