第17章 人はそれを安心という派遣団との交渉役としてキャンプ・ブロークングラスに戻ってきたユルスとワタクシ。
これほどお粗末な英雄もないけど、可愛い双子を人質に取られてるので今回は仕方ない。
交渉が始まってまもなく、槇島さんのリンクパールに通信が入る。
マキシマ「偵察隊が、アルフィノ殿とアリゼー殿を保護しました。
首輪の解除にも無事成功したそうです。」どうやらサンクレッドたちが上手くやってくれたようだ。
交渉の優位性がなくなった以上、ユルスもただ帰れとはいえないだろう。
改めてルキアさんが対等に話がしたいと持ちかけるが、ユルスの返答は重い。
ユルス「……それは不可能だ。
交渉が失敗した場合についても、すでに指示は受けている。」突如四方から迫りくる帝国兵と魔導兵器。
さっき聞いた『詳しいことはイルに聞け』の合言葉の答えはこれか!
いやそれより、どこにこんな人数隠れてたの!?
ユルスもやる気だ。
こうなっては、もう戦うしかないのか……!?
ア・ルン「双方、待て……ッ!」
突如、戦場に吹き荒れるつむじ風。
やったのはもちろん我らが三重の幻術皇、アルン君。
この大範囲……まさかこれはあの失われた伝説の白魔法、エアロギョでは!?
帝国の兵士たちも冷たい風で頭が冷えたのか、攻撃の手を止める。
ルキア「先ほど、グランドカンパニー・エオルゼアより、
緊急の連絡が入った。
アラミゴに、第X軍団を中核とする一団が来訪。
会談を希望してきたそうだ。
曰く、彼らは帝都解放を目指して共闘を呼びかけるも、
第IV、第V、第VIII、第XII軍団とは交渉決裂……
大半の軍団が独自路線を突き進み、交信すらままならぬ中で、
第X軍団自体が属州兵の大量離反を許し、
継戦能力を喪失……。
以て、グランドカンパニー・エオルゼアに、
保護を申し入れてきたという。」ユルスは思わず否定したが、続く『イルは立たず』という言葉に思い当たるものが合ったらしく、聞いた途端表情がこわばった。
ノア・ヴァン・ガブラス率いる第4軍団が完全に独立した動きを見せていたのはセイブ・ザ・クイーンで知っていたけど、他の軍団も同じだったみたいね。
ユルス「……聞こえてましたか、クイントゥス様。
俺たちは……どうすれば…………。」耳元に手を当て、おそらくリンクパールではない通信機でクイントゥスの判断を仰ぐ。
少し間をおいて流れ出たのは、長い溜息と、失意の言葉だった。
クイントゥス「第X軍団の判断に従う。
……そう伝えよ。」クイントゥス「まこと、この世は、絶望ばかりがすり寄ってきよる……。
……ヴァリス陛下、あなたもさぞ口惜しいでしょうな。
ともに国父のもとで駆け、
辺境で身を縮めていた我らが覇者となる夢を見た。
民のため、ただただ強い帝国であらんとした。
しかし……我らはもはや、亡霊らしい……。」めちゃくそ重い。帝国パート、流れるようなテンポで情緒をかき乱してくる。
私はともかく、ずっと双子の心を折りにかかって来てない?
子供のトラウマ製造帝国?
その後色々あったものの、今回の抗争は軍団長クィントゥスの独断として処理し、強襲した者たちは一般市民として保護することとなった。
そして何よりも今優先すべきはテルティウム駅の人々の救助だ。
カエソー君にかぎらず帝国の技術者って結構現実主義だよね。
ネロさンやクックックさんなんかは半ば利己主義も入ってるけど。
っていうかなんでシドはこないのよー。
今こそ自由のための技術が求められてる時でしょー。
フラウィウス「あなたは……もしや……
この前、私を介抱してくださった方ではありませんか……?
派遣団……そうか……異国の方、だったのですね。
てっきり、同じ帝都市民かと……
手だけでは……わからないものですね……。
……私は生粋のガレアン人で……
他国のことは、敵としてしか、知りません……。」信じてくれて、ありがとう……!
私も救われた思いだよ。(大泣き
マグナイ「この地を、骸のような土地だと感じたが……
なるほど、あれほどの熱を持って護らんとする者どもが、
まだ残っているとはな。」余輩さんのお墨付きがでたぞー!
元草原の覇者が断言するんだから間違いないよね。
テルティウム駅構内でも派遣団の救助活動がはじまった。
入り口には温かいスープを配る神殿騎士の女性が。
派遣団の神殿騎士「こんにちは、英雄殿!
今は炊き出しの準備をしているところなんだ。
そうだ、英雄殿も、よかったらスープ配りに参加しないか?」これは久しぶりに馴染みのあるホッとするクエストだ。熱々スープだけに。
もちろん参加しよう。
派遣団の神殿騎士「ありがとう、助かるよ!
私もイシュガルドが大変だったとき、すっかり疲れ切っていて……
絶望しかけて、半ば自暴自棄になったことがあったから。」ん? 聖大厩舎の近く……ちょっと待てよ……。
ああ、の人か!
神殿騎士になったんだ、なんだか感慨深いね。
スープ配りの後は行方不明の子供を探しに廃墟となった市街地へ。
子供はすぐ発見したものの、完全に敵と思われてるらしい。
こっちもメンタル的に疲れてるから麻袋にでも放り込んで連れ帰りたいのだけど、流石にそういうわけにも行かずお約束の尾行フェーズへ。
これがまたやたら難しい。
ちょろちょろ走り回ってこっちの様子を伺ってくる。
いや、もう、勘弁して。
結局3、4回やり直してようやくクリア。
こんにゃろう、大人しくしないと簀巻きにしてブドゥガ族にプレゼントしちゃうぞ!?
うそうそ、怖いこと言ってごめんね、泣かないで。
目の前の君を助けたかっただけなんだよ。
怒涛の救助活動もようやく落ち着きを見せ、一服する時間を得た派遣団。
これまで交わることのなかった暁やクラスクエストの仲間たちが、穏やかに語り合う姿は心にグッと来るものがあるね。
ニャンもかつての師匠と久しぶりの対面。
そういえばジョブクエストの最後は逆恨みみたいな理由で殺そうとしてたけど、ちゃんと謝ったんだろうか。
ユルスもクィントゥスが亡くなったと聞いたときは心労で憔悴していたものの、派遣団キャンプの暖かな空気に触れて表情が和らいできたようだ。
理由は他にもあるかもしれないけど、クィントゥスもガイウス同様、自分がいると民が素直に他国の支援を受けられないと思って、自ら命を断ったんじゃないかな。
そして、それは少なからず双子の言葉が彼に届いていたという証でもある。
集まってくる人々に、差し出される暖かなスープ。
中身はゼラスープかな? 私も飲んでみたい。
派遣団の解放軍闘士「お前も食え、悪いものは入ってない。
俺はアラミゴから来たが、つい最近まで「帝国兵」だった。
ガレアンの上官と、いつも同じメシを食ってた。」ユルスは受け取ると、勧められるままに口をつけた。
冷え切った体に、あたたかな熱が染み渡っていくのがその表情からも伝わってくる。
その言葉で、ずっと抑えていたモノが溢れた。
涙は嗚咽を伴って足元に、あるいはスープの中に、とめどなくこぼれ落ちる。
ずっと不安や緊張の中で戦ってきたユルスにとって、それはなによりも必要なものだった。
ちなみに私の顔も、ユルス以上に涙と鼻水でぐちゃぐちゃである。
ルキア「この光景を眺めていると、夢の中にいるような気がしてくる。
竜詩戦争が終結したときも、こんな心地だった。
朝、目が覚めるたび、どこまでが事実だったのか……と、
わからなくなったものだ。」槇島さんはずっと苦労人だったもんね……。
アサヒに都合よく利用されるわ、同じ帝国軍に狙われて亡命までさせられるわ、心中お察しします。
それに比べるとルキアさんは潜入先の総長に惚れ込んで祖国を裏切っちゃったから、割りと自由に生きてる気がしないでもない。
――自分が帰る場所のこと……その温度や匂いを思い出すから、
寒くはならない。
公園でユルスが語ったのは、きっとこういうことだったんだねぇ。
懐から漏れ出た光。
取り出した例の花は、鮮やかな青色を帯びていた。
本来なら寒色であるこの色も、この地に生きる人々にとっては体を温めるための炎の色なんだろう。
願わくば、この安らぎの時間がこの先ずっと続くことを願いたい。
が、そうは問屋が卸さないのがこのゲーム。
ラジオが拾った声「我こそ……ガレマール……皇帝……
ヴァリス……ガル……ス……。」人知れず、ラジオから漏れ出たヴァリス帝の肉声。
キャンプ一帯に放たれるエーテル放射。
慌てふためく派遣団員に苦しみもがく帝国市民。
ああ、もう、やめてよそういうの!
エーテル放射ってゾットの塔みたいに一定距離に常時放たれてるものじゃないの!?
????「お待ちください、英雄殿ッ!」背後からの呼びかけに振り向くと、そこには黒渦団の制服を着た――
全権大使の姿があった。
私にもやすらぎをくれええええ!!