第18章 君の名は拝啓
異郷の地の、パパ上、ママ上、お変わりありませんでしょうか。
アトリは今、一番友達になりたくない奴らと会食をしています。
ファダニエル「おはようございます。
こちら、冷めないうちにどうぞ。」ねっとりとした寝覚めの一声。
目の前には起きたての胃には超重そうな料理。
さらにその先にはさも美味そうにパクパク食べ続けるアイツ。
それにしても頭が重い……いったい私はどうなってるの……。
「その身体」……?
ええ……。
なにこれぇ……。
どうやら寝てる間に魂を別の身体に移し替えられたらしい。
私、どこかの組織の取引現場見てた高校生探偵とかじゃないんですけど?
しかもくさそう。
夏場の剣道具の匂いとかしそう。
ファダニエル「だったら、せっかく近所まで来ていることですし、
友らしく食事に誘ってはどうかと提案したのですよ。
そしたら……返事がなかったもので!
「是非に」と解釈いたしましたッ!」解釈すんな。
それ以前に、なんでその流れで魂入れ替える必要があったんよ、普通に呼べよ。
ホントこいつは人が嫌がることしかしないな!?
すると隣の大きな扉?の向こう側から例の咆哮が。
ファダニエル「おやまぁ……。
不愛想な息子が友人を連れてきて、
お父上も、感無量のご様子だ。」……ああ、そういうことか。
咆哮の正体がFF10でもおなじみのアニマだということは暁月に入る前から察しがついてたんだけど、その召喚に必要な祈り子的な役回りは誰がするのかは、あまり見当がついてなかったんだよね。
まさかヴァリス帝の身体に呼びおろしていたとは。
元ネタ的にゼノスの母親って線も予想してたんだけど、ここまで何の情報もなかったしね。
しかし、いちいちオーバーアクションで煽ってくるのムカつくな!
ゼノス「お前は、すでに狩ったことのある獲物に興味があるか?」突然の問いかけ。
なにこれ、新手のアプローチ?
少なくともあんさんに興味はおまへんえ。(全力拒絶の京言葉)
ゼノス「……だろうな。
しかし、お前に気がなければ、
前回を超える一戦など、到底果たせまい……。
俺は牙を研ぐと同時に、
再びお前を「その気」にさせる必要があったのだ。」鬱陶しい動きでゼノスのグラスにワインを注ぐ全権大使。
あの特徴的なラベルはいつぞやの劇作家クエで見かけたやつかな。
おつまみはベーコンエピがいいらしい。
ゼノス「英雄……。
それは、絶望と悲嘆が渦巻く場所に現れ、
命を賭して戦う者だという。」ゼノス、お前は存在してはいけない生き物だ……。(長男省略)
お前の目論見は成功だよ。大成功だよ。
ゲームのキャラにココまで不快になることそうそうないよ。
今すぐぶっ転がしてやるから私の身体返せ!
ゼノス「俺は以前、アシエンからこの身体を取り戻すまで、
別人の肉体を使っていた。」なんだこのアウラ美女!?(驚愕)
いや、そんな場合じゃない。
私の身体じゃん!
あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"ぁ~~~~!!
GMさん!GMさーん!!乗っ取りでーす!!
ああ、くそう、悪い顔のワタシも可愛いな!
なによそれ、クロノクロスのヤマネコか!?
リマスター発売おめでとうございます。
キッドとツマルが好きです。
それよりそこに転がってるアイツの身体使わせてよ。
外に放り出されてからのことはあまり覚えてない。
ただ傀儡兵に追いかけ回されたり、魔導アーマーの燃料を探し回ったり、生き残った市民たちと共闘していた気がする。これなんてメ○ルギア?
だけどなにかが爆発して、気がついたら床をペロペロしていた。
ああ、私はもうだめかもしれない。
助けられなかった帝国市民よ、無力な私を許しておくれ。
せめて最後にFF16の新情報が見たかった……。
・・・・・・
一方、派遣団のキャンプ地では先の騒動が落ち着きを見せ始め、私がいなくなったことに気づき始める者が出始めていた。
信用してもらってるのはありがたいのだけど、今大変な事になってます。
ユルスや他の帝国市民の保護は全員無事に完了しているらしい。
グ・ラハ・ティア「あれって……。」アリゼー「なんだ、帰ってきたじゃない!」グラハとアリゼーの視線の先にはキャンプに向かって歩いて来る一人のアウラ女性。
彼らに釣られるように視線を向けた他の者たちも、その見慣れた姿に安堵の吐息をつく。
しかし、一人だけ訝しげに眉をひそめている者がいた。
ヤ・シュトラ「あの人が、そこにいるの……?」彼女の眼は万物を構成するあらゆるエーテルを目視できる。
どういう理屈かは知らないが、それは肉体に宿る魂すらも例外ではない。
アリゼー「おかえりなさい!
急にいなくなって、みんな心配してたのよ。」グ・ラハ・ティア「とりあえず、無事でよかった。
何かあったのか?」温かい迎えの言葉に返答はない。
ただその顔には、私ならしないであろう邪悪な笑みが浮かんでいる。
さすがに二人も異変に気づいたようだ。
訝しげに目を細め、グラハは問いただす。
が、言葉の代わりに返ってきたのは殺意という名の猛毒だ。
突如虚空に出現した謎の妖異は、無防備な二人に禍々しい大鎌を振り上げる。
万事休す!しかし、その凶行は飛来した一本の剣によって阻止された。
妖異を霧散させた剣を投擲したのはもちろん、この私である。
みんな、待たせたな!
お前の!好きには!させない!
どりゃああああ!
見事なよわよわ羅刹衝(故)が決まり、あっさりと吹っ飛ぶゼノス。
ついでに私も満身創痍で力尽きた。
ファダニエル「はい、残念ながらブレインジャックは効果切れ、
それぞれの身体に戻るお時間です。」現れたファダニエルに身構える暁の面々。
テルティウム駅の青燐水を盗んだのはやっぱりお前か。
それを聞いた兄妹も思わず怒りと嫌悪に顔を歪める。
曰く、終末再現に必要なエーテルがまもなく必要量に達するらしい。
最古の蛮神を使って、ということはゾディアークを復活させるつもりなのか。
そうはさせない!と言いたいが、強烈なめまいのせいで立つことすらままならない。
そんな私の顔をゼノスは静かに嗤いながら覗き込む。
ゼノス「強き神を喰らって、お前の仲間も、世界も、
すべてを引き裂こう……。」その言葉を最後に、私の意識は闇に落ちたのだった。