FF14バックステージ調査隊⑬ゲームUIデザイナー:小田切慧さん

バックステージ調査隊

こんにちは。宣伝チームのはまです!
『FFXIV』の開発/運営スタッフに裏話を聞いていく企画、「FF14バックステージ調査隊」。

JP220626_he_01.png

今回はリードゲームUIデザイナーの小田切慧さんに話を聞きました。
FFXIVのUIチームはゲームを支える根幹のシステムから、世界観と一体となったメニュー表示まで、実に幅広い開発を担当しています!

JP220626_he_02.png

また、現在FFXIVではゲームUIデザイナーを募集中です! 気になる方はぜひ、このブログ、そして採用情報をチェックしてみてください。

******

はま: さっそくですが、小田切さんの「ゲームUIデザイナー」としての主な仕事内容を教えてください。

小田切: はい、「ゲームUIデザイナー」というと、アーティストのような仕事をしていると思われがちですが、どちらかというとシステマチックな仕事です。アップデートで新しい機能やコンテンツの追加をするとなった際に、その機能のメニュー画面(操作画面)には、どんな要素が必要で、どんな操作の導線にすべきかの要件を取りまとめて、仕様に落とし込みます。そして、関係するセクションのメンバーと方向性を調整しつつ、プログラマーやアーティストと実装作業を進めていく、というのがUI班の主な業務です。

自分の主な担当範囲でいうと、カメラや移動の操作といったプレイヤーの入力に関わる機能や、UIのカスタマイズ要素をとりまとめるコンフィグのような制御系の機能、PlayStation®5/ PlayStation®4のプラットフォームに依存した要素の検討など...... ゲームの土台となるシステム的な項目を多く担当しています。

JP220626_he_03.png

あとは、そういった基礎部分の担当から派生してグループポーズ楽器演奏、直近だとアドベンチャラープレートなどの機能も担当しています。

はま: ひとことに「UI」といっても、担当領域が広いですね!例えば、ひとつのコンテンツを追加するとなったときに、どのような流れでUI班に相談がくるのでしょうか?

小田切: まずは「こういう機能やコンテンツを実装するので、それを操作するUIが欲しい」といった相談が上流工程で企画しているゲームデザイナーから行われます。これを受けて、もう少し踏み込んで担当者とその企画の意図や、コンテンツの軸となる部分のすりあわせを行います。そして、必要となる機能の要素・要件を洗い出して、実装難度などを考慮して、実担当をしてもらうゲームUIデザイナーを割り当てて、より具体的な仕様検討を進めていきます。

例えばパッチ6.25で初めて追加されたヴァリアントダンジョンには、多岐に渡る機能が内包されています。具体的にはUIから直接コンテンツへの申請できる機能や、ヴァリアントアクションの設定機能、コンテンツクリアによって開放されていく探索記などがあり、さらには高難易度向けのアナザーダンジョン向けとして突入コンテンツの選択機能や、参加条件の選択機能があります。

JP220626_he_04.png

これらの必要な機能を洗い出し、プレイヤーにとって必要と思われる要素をとりまとめて、UIアーティストにデザインとレイアウトデータの作成を、UIプログラマーに機能の実装を依頼します。コンテンツへの申請やアクションの付け替えなどの基本画面は標準的なシステムUIのように見せつつ、探索記はデザイン寄りにする形でまとめてもらいました。

JP220626_he_05.png

はま: たしかに、それまでにないコンテンツ突入方法やログの画面などがとても印象的でした。

小田切: ヴァリアントダンジョンの仕組み自体はゲームデザイナーから概要をもらうのですが、そこからUI機能として具体化するにあたっては、アーティスト・プログラマーと一緒に世界設定や操作性・機能性なども考慮しながら、「こういう見せ方、操作の仕方でどうでしょう?」というのをUI班からも積極的に提案をしています。

ほかの班と比べると、UI班は次に公開するパッチに近いところの作業をしていることが多いです。ほかの班だと、もっと先々のパッチのために企画をしていたり、環境を作っていたりするのですが、UI班はそれらを踏まえて直近のパッチの作業をしていることが多いので、ひたすら「今」のパッチと対峙しながら生き続ける、という感じです(笑)

はま: 一方で、UI班は過去に実装したシステムに遡って改修することもありますよね。

小田切: そうですね。例えばパッチ6.4では、ベテランプレイヤーの皆さんにはあまり影響のない機能にはなりますが、剣術士からナイトといった「クラスからジョブを修得する」ような場合に、ホットバーの設定をクラスからジョブにそのまま引き継げる機能を実装しました。

JP220626_he_06re2.png

▲パッチ6.4で行われたシステム関連のアップデートのひとつ。

これまでは初めてジョブチェンジした際にホットバーを直す必要があり、初心者にわかりやすいとはいえない状況でした。長年なんとかしたいとは思っていたのですが、作業の優先度や担当者の人繰りなどがうまくハマり、ようやく対応できました。

新しいコンテンツに関わるUI開発はもちろん、こういった"細かいけど対応しておきたい要素"や"今の時代にあった改修"などは、引き続き少しずつでも進めていきたいと思っています。

はま: たまに「細かっ!!」と驚くような改修があるのも、そういう意識から行われているわけですね。

小田切: 「UIってここまでやってるんだ!」と思われるかもしれないほど、細かな改修もやっています。チームのみんなで改修案を出し合い、タスクリストを作って、隙間時間があったら改修に着手しています。「こうなっていたほうがいいんじゃない?」「たしかに、それはやれそうだね」「3日くらいでできそう」「じゃあ、タスクに積んでしまってくださーい」 などというやり取りをしています。

はま: パッチ6.4でネームプレートの横にジョブアイコンが表示できるようになったのも、大きな変更点でしたね。これは小田切さんが2020年にプロデューサーレターLIVEに出た際 、"すぐには対応が難しいものの、検討は続ける"と話していたことが、今になって実現したな、と。

小田切: たしかに、あれはわかりやすいUIのアップデートですね。以前PLLに出演した際に説明した状況と大きく変わってはおらず、前提としてアイコン表示は1つしかできない仕様であり、単純にジョブアイコンで上書きすると、コンテンツ申請中やメンター、通信途絶状態などを示すオンラインステータスアイコンが表示されなくなってしまいます。これを踏まえて、表示するオンラインステータスに対して優先度をつけて、状況によって一部のオンラインステータスはテキスト側の機能に逃すことで、実現に至りました。

JP220626_he_07.png

UIは、様々な要素の積み重ねで実装されているという特徴があります。UIは作ったら終わり、ではなく、これまでに作ったもの、改修したものにどんどん上積みしていくイメージです。このため、サービス期間が長くなるとどうしてもいびつな実装箇所や、過去実装による制約が生まれていきます。もちろんこれは開発サイドの話で、プレイヤーの皆さんにとっては関係のないことではあるのですが、一つを解決するのにも様々なハードルがあるため、少しずつ改善を進めていく形になってしまうのはご容赦いただければと思います。

個人的に大切にしたいと思っている点としては、「その実装に至った意図や経緯」を説明できるようにしておくことです。原因・理由・制約をしっかり把握しておくことで、将来的に改善につなげて行ける可能性があります。ストレートに改修できなかったとしても、回り道で解決できる方法がないかを考えるよう心がけています。

はま: 無限に仕事がなくならないのでは、と感じました(笑)

小田切: どこまでやってもなくならないですね! 自分たちでタスクを作って、自分たちの首を絞めている感じはしますが(笑) でも、やはりプレイヤーの皆さんに喜んでもらえるのが一番のモチベーションです。

はま:最後に、プレイヤーの皆さんに向けてひとことお願いします!

小田切: 以前に出演したPLLでもお伝えしたことですが、UI班は基本、プレイヤーにとって「できて当たり前」の機能を作るチームなので、どちらかというとお叱りを受けることはあっても、褒められることは少ないチーム...... だと心得ているのですが、FFXIVでは褒めていただくことが多くて本当にありがたいです。もちろんこれは、一緒に作っている開発メンバーの努力のたまものですが、それに対してプレイヤーの皆さんのフィードバックがあって、それを踏まえて改善する、というキャッチボールがあるからこそだと思っています。

プレイヤーの皆さんの要望のスピード感とのズレはどうしても生じてしまうことも多いとは思いますが、引き続き、まだまだ遊びやすい環境づくりをしていけるようUI班みんなで頑張っていきたいと思います。プレイヤーの皆さんの声は本当に大きなモチベーションになっています。みんなフォーラムやSNSを見ていますので、色んな声をあげていただけるとありがたいです!

また、現在「ゲームUIデザイナー」を絶賛募集中です!
FFXIVの世界を広げていくには、もう少し仲間が欲しいのですが、できることなら実際にプレイをしてゲーム内の機能を熟知している光の戦士の皆さんからの応募があると嬉しいです。比較的短い間隔でアップデートをしていることからプレイヤーの皆さんからのフィードバックもたくさんいただけるため、とてもやりがいのある仕事です。個人的には、新しいゲームを起動したら、スタートを押す前にコンフィグから確認するようなプレイスタイルの方にはとてもおすすめです!
FFXIVのUI開発に興味がある方は、ふるってご応募いただければと思います!


***************

つねにプレイヤーの皆さんのプレイ体験やフィードバックを意識しながら開発しているFFXIVのUI、これからも進化が続きそうです!

今回も読んでくださり、ありがとうございました!

はま(宣伝チーム)
  
★FF14バックステージ調査隊バックナンバーはこちらをご覧ください★

記事を探す

カテゴリから探す

月別に表示

月を選択

  • 2024年3月
  • 2024年2月
  • 2024年1月
  • 2023年12月
  • 2023年11月
  • 2023年10月
  • 2023年9月
  • 2023年8月
  • 2023年7月
  • 2023年6月
  • 2023年5月
  • 2023年4月
  • 2023年3月
  • 2023年2月
  • 2023年1月
  • 2022年12月
  • 2022年11月
  • 2022年10月
  • 2022年9月
  • 2022年8月
  • 2022年7月
  • 2022年6月
  • 2022年5月
  • 2022年4月
  • 2022年3月
  • 2022年2月
  • 2022年1月
  • 2021年12月
  • 2021年11月
  • 2021年10月
  • 2021年9月
  • 2021年8月
  • 2021年7月
  • 2021年6月
  • 2021年5月
  • 2021年4月
  • 2021年3月
  • 2021年2月
  • 2020年12月
  • 2020年11月
  • 2020年10月
  • 2020年9月
  • 2020年8月
  • 2020年7月
  • 2020年6月
  • 2020年5月
  • 2020年4月
  • 2020年3月
  • 2020年2月
  • 2020年1月
  • 2019年12月
  • 2019年11月
  • 2019年10月
  • 2019年9月
  • 2019年8月
  • 2019年7月
  • 2019年6月
  • 2019年5月
  • 2019年4月
  • 2019年3月
  • 2019年2月
  • 2019年1月
  • 2018年12月
  • 2018年11月
  • 2018年10月
  • 2018年9月
  • 2018年8月
  • 2018年7月
  • 2018年6月
  • 2018年5月
  • 2018年4月
  • 2018年3月
  • 2018年2月
  • 2018年1月
  • 2017年12月
  • 2017年11月
  • 2017年10月
  • 2017年9月
  • 2017年8月
  • 2017年7月
  • 2017年6月
  • 2017年5月
  • 2017年4月
  • 2017年3月
  • 2017年2月
  • 2017年1月
  • 2016年12月
  • 2016年11月
  • 2016年10月
  • 2016年9月
  • 2016年8月
  • 2016年7月
  • 2016年6月
  • 2016年5月
  • 2016年4月
  • 2016年3月
  • 2016年2月
  • 2016年1月
  • 2015年12月
  • 2015年11月
  • 2015年10月
  • 2015年9月
  • 2015年8月
  • 2015年7月
  • 2015年6月
  • 2015年5月
  • 2015年4月
  • 2015年3月
  • 2015年2月
  • 2015年1月
  • 2014年12月
  • 2014年11月
  • 2014年10月
  • 2014年9月
  • 2014年8月
  • 2014年7月
  • 2014年6月
  • 2014年5月
  • 2014年4月
  • 2014年3月
  • 2014年2月
  • 2014年1月
  • 2013年12月
  • 2013年11月
  • 2013年10月
  • 2013年9月
  • 2013年8月
  • 2013年7月
  • 2013年6月
  • 2013年5月
  • 2013年4月
  • 2013年3月
  • 2013年2月
  • 2013年1月
  • 2012年12月

タグから探す

  • フリートライアル
  • モグステーション
  • ファイナルファンタジーXIV: 黄金のレガシー