FF14バックステージ調査隊④リードUIアーティスト:関洋一さん

バックステージ調査隊

こんにちは。宣伝チームのみやみやです!

FFXIVの開発/運営スタッフにいろいろな裏話を聞いていく企画、「FF14バックステージ調査隊」。

今回ご紹介するのは、プレイヤーの皆さんに快適なエオルゼアライフを送っていただくため、日々奮闘しているというUIアーティストのバックステージです。

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リードUIアーティストの「関洋一」さんにお話を伺ってきました!

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みやみや:はじめに、自己紹介をお願いします!

:FFXIVチームでリードUIアーティストをしております、関 洋一(せき よういち)です。

みやみや:UIアーティストとは、普段どんなお仕事をされているのでしょうか?

:「UIアーティスト」と言うと、皆さんの中には第一印象として、いわゆるシステムウインドウやアイコン、ゲージだけを作っているようなイメージがあるかもしれませんね。でも実は、タイトル画面やエンディング、ロケーションタイトルや2Dマップ、シーズナルイベントのミニゲーム画面、ドマ式麻雀、クロの空想帳やクポフォーチュンの台紙など......あらゆる画面の制作をUIアーティストが担当しています。

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 また、グループポーズについてもゲームデザイナーの小田切(慧)さんとUIアーティストで作っています。担当しているものが多岐にわたるため、UI班の中だけではなく、それぞれイベント班、エフェクト班、キャラ班、ライブ班など、色々なチームと関わりながら制作を進めていますよ。

みやみや:確かにUIというと、どんどん便利になっているなぁという印象で、システム寄りのイメージが強いかもしれません。実際にはこんなにも幅広くご担当されていたのですね! その中で数あるアクションアイコンも、UIアーティストによって作られていると思います。先日パッチ5.45でアップデートした青魔道士については、アクションアイコンの絵がイラストチックで、描き込みも特に多いように感じているのですが、描き分けを意識されているのでしょうか?

:どのアクションも作り込んではいるのですが、青魔道士のアクションアイコンは「青魔道書」に載るということで、通常のホットバーに載るよりも大きめのサムネイルを出したい、という仕様部分のオーダーがまず初めにありました。

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 その上で、最初に青魔道士アイコンを作った担当スタッフが「せっかく大きく表示されるのだから」と、他のアクションアイコンと比べて少しイラストチックに仕上げてくれたのです。見栄えが変わっておもしろいね、ということで今もその流れを引き継ぎ、ややイラストチックに描いている......という背景があります。

みやみや:そういった理由で、他のアクションとは一味違う雰囲気になっているのですね!ラーニングして青魔道書が埋まっていくと、非常に華やかでコレクター心をくすぐられます。 では青魔道士以外もふくめ、アクションアイコンを作る際のこだわりポイントや、関さんが気に入っているものがあれば教えてください。

:自分のこだわりとしては「識別性」を重視していて、他のスタッフにも意識してもらうようお願いしています。同じようなアイコンばかりが並んでしまうと、即座の判断がしづらいですよね。中でもヒーラージョブはキラキラしたアクションが多いので、識別性をなるべく高めるために毎回頭を捻らせています......。お気に入りといえば、占星術師のアクションアイコンは美しく作れたんじゃないかと思っています。

20200216_mm_06.png▲占星術師のアクションアイコンたち。星が広がるエフェクトをギュッと閉じ込めたような、繊細なアイコンです。

 少しお話が逸れますが、アクションアイコンは元々高解像度で出す想定がなかったため、他のアイテムアイコンなどと比べ少し小さめのデータで作られていました。そのため「Lodestone」でアクションアイコンを掲載したいという話があったとき、必要に応じて都度Lodestoneチームで「拡大する⇒ボケないように加工する」という処理を入れてもらっていました。さすがにアクションも膨大な数に増えてきたため、これまでの規定サイズではなく、大きなデータで制作をするようになったのですが......。

 実は世間の高解像度化の流れに乗って、アイコンなどの解像度を大きくする必要があった関係で、2019年の年末頃に、過去制作したアクションアイコンの中身をすべてまるっと描き換えているんです。


20200216_mm_07.png▲いくつかBEFORE/AFTERを並べてみました。小さいもの同士を比べると、本当に違いが分かりません......!

みやみや:え!?そうだったのですか!?まったく気づきませんでした......!

:急に見た目が変わるとプレイヤーの方も困ってしまうので、普段のゲーム画面で見る大きさで再現したときに、まったく同じに見えるよう善処しました。スタッフの努力もあり、今ではかなり大きなデータとすることができました。

 これからPS5版をふくめた高解像度対応が必要になりますが、 すでにアクションアイコンの作業が済んでいるおかげでその分他の作業ができるため、早めにやっておいて本当に良かったなと思っています(笑)。アクションアイコンだけで3000種類くらいありますからね。

 その時に、ふたを開けてみると「アイコンの中身が何だか分からない!」ということもありました(笑)。自分も途中からFFXIVチームに合流したため、この時初めてしっかりと中身を見たのです。中でも「メディカラ」はピンク色でかわいらしいイメージだったのですが、よく見ると人影がななめに4人並んで、中央に杖が掲げられているんですよね。自分のメインジョブは白魔道士なのですが......その時初めてそんな中身であることに気づきました(笑)。スタッフ一同大笑いしましたね。

20200216_mm_08.png▲メディカラのアクションアイコン。私も最初は中央の杖が枝、周りが花びらに見え、お花か何かがモチーフなのかと思っていました......。

みやみや:確かに、私も中身がよく分かっていないものがあるかもしれません......(笑)。 では続いて、お得意様取引「エル・トゥ」についてです。UIに書かれているエル・トゥのサインが、途中で変化したという噂を聞き驚きました。これはどのようなことを意図して取り入れたものだったのでしょうか?

: SNSなどでも、エル・トゥに関してプレイヤーの方が「段階が進むごとに変わっているのでは?」とおっしゃっているのを見かけ、よく気づいていただけたなぁ、と嬉しく思いました。

 実はいちばん最初のシロ・アリアポーの時から、UIにちょっとした遊びを入れていました。台紙をよく見てみると、妹のクロがいたずらした汚しや、空想帳でも貼られているシールが端っこに付いているんですよ。当時担当していたスタッフの発案だったのですが、これはイイ!ということで、その後も全員ではないのですが何人かにちょっとした遊びを入れています。

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 その中でエル・トゥは、ストーリーで三段階に成長することが分かっていたので、このエル・トゥの成長物語に合わせたネタを入れよう!ということで、成長度合いを示す要素を検討しました。その結果、

・ 最初は不器用なので、文字を書こうとしたけれど爪でひっかいたようなサインになり、台紙も少し破けている。
・ 二段階目は、少し成長し文字っぽさが出てくる。
・ 最終的には、ストーリーでも道具を持って器用に作業ができるようになったことを踏まえ、ちゃんと文字が書けるようになる。

 といった変化を付けることになりました。段階要素があるのは今のところエル・トゥだけですので、まだご覧になっていない方がいらっしゃいましたら、ぜひ注目してみてください。

20200216_mm_10.png▲エル・トゥの1,2段階目。すでに最終段階まで進めてしまった場合は、もう見ることができないとのこと。最終段階については、ご自分の目でお確かめください!

みやみや:まだまだ気づいていない要素がありそうです......またみんなに会いに行かねば! では次に、今では必要不可欠とも言えるジョブHUDですが、実は最初からあったものではなく、『紅蓮のリベレーター』から導入されたものでしたよね。ジョブHUDはどういったところを意識して制作されたのですか?

:ジョブHUDを作ることになったのは、バトルシステム班から新しい遊びを入れたいと相談を受けたことがきっかけでした。まず初めにアーティストの方で、どういったデザインにするか?ジョブらしいデザインって何だろう?というところを寄せ合い、方向性を決めました。そのあと吉田P/Dにも確認しながらよりイメージを詰めていき、そこから本格的にデータ作成、中身の仕様作成が始まりました。これが本当に大変で......(笑)。

 ジョブHUDは、UIを作る中で仕様面や識別性、スタンスなどのオンオフやスタック時の点灯の有無、ゲージがたまったときの発光やエフェクト部分など、考えなければならないポイントが非常に多いのです。バトルシステム班ともゲージのたまり具合や点灯の視認性など細かく相談していきましたが、検討すべき点が多く、たくさんの要素を盛り込む必要があったため、UIアーティストの仕事の中でもいちばん難度の高い仕事だったのではないかと思います。

20200216_mm_011.png▲白魔道士/踊り子のジョブHUD。どのジョブもそれぞれ、スタック数や蓄積量などが瞬時に分かるようデザインされています。見た目も美しい!

 それでも、とにかくUIアーティスト全員のFFXIV愛が強く、自分のメインジョブはぜひやりたい!などと積極的に取り組んでくれました。それぞれがゲームをやりこんでいることもあり、必要な要素をデザインに落とし込むための理解も早く、結果的に非常に良いものを作ってくれたと思っています。自分もジョブは一通りプレイしレベルもすべて80になっていますが、やはり実際にプレイしている、FFXIV愛がある、ということが大切ですよね。

みやみや: UIアーティストの方々が、ゲームやジョブに理解が深かったからこそ作れたもの、なのですね。 それでは、今まで関さんが担当されたお仕事の中で、いちばん心に残っている出来事を教えてください。

:「YoRHa: Dark Apocalypse(以下、ヨルハ)」のUIを作ったときの出来事が心に残っています。

 ヨルハのUIは自分が制作したものなのですが、このクロスオーバーのお話を聞いたとき、実は自分が「NieR:Automata(以下、ニーア)」をやりこんでおりまして。いちプレイヤーとしてニーアが好きだったので、まさか自分が関われるとは思っておらず、非常にわくわくしたのを覚えています。イベント班の方とも相談しながら、ニーアのUIをそのままFFXIVに入れたらおもしろいのでは?という話になり、「情報記録端末」のUIを作ってみました。

20200216_mm_012.png▲情報記録端末のUI。開くときの挙動もニーアそのもの!!

 ヨルハが公開された後、SNSでプレイヤーの方々が「情報記録端末を開いたとき、通常のUIが出てくると思ったらニーアのUIが出てきて感動した!」とおっしゃっていたのを拝見しました。それを見て、「やったー!」という気持ちと、「まさかUIで人を感動させることができるなんて!」という気持ちでいっぱいになりました。

 美しい音楽や素晴らしいストーリーで感動して涙が出ることはあっても、UIはどちらかというと「操作がしやすい」「雰囲気に合っている」という印象が残る程度だと思っていたんです。もちろんヨルハのUIについてもニーアの素晴らしさがあってこそではありますが、最近はUIアートをほめていただけることも増えてきて、「UIを通して、何かしら人の心に訴えかけることができているんだ」と感じるようになりました。

 UIアーティストは個性豊かで、例えばかわいらしいものや華やかなものを作るのが得意なスタッフがいれば、自分はどちらかというとフェイスUIやドマ式麻雀など、システマチックなものが得意です。それぞれの持ち味を生かして、この先も何か人の心に残るような様々なUIを作っていきたいと思います!

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みやみや:それでは続いて、恒例コーナー「私の仕事道具紹介」です!関さんが仕事をするにあたり、欠かせないもの、お供にしているもの、便利なものなどを1つご紹介ください。

:この「Elgato Stream Deck」というデバイスです。去年Webで「FFXIVをプレイするにあたって便利グッズ」という記事を拝見しまして、そこで紹介されていたものの一つです。

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 ショートカットキーをデバイスのキーに当てはめることができる、というものなのですが、マクロを組むこともできるため、複数のコマンドを1つのボタンに登録できるのです。こういったデバイスは他にもあるのですが、この「Elgato Stream Deck」の大きな特徴が、「登録したアイコンを、LEDでボタンに映し出すことができる」ということです。

 仕事ではツールの切り替え、フォトショのマクロで活用しています。複数のアクション、コマンドを組み合わせて使うことができるので、非常に便利なのです。仕事用のものはお見せできないので、今回はFFXIVプレイ時に使用している状態のお写真をご用意しました。よく見ると、ボタンの一つ一つに小さなアイコンが表示されていますよね。アクションアイコンをこのボタンに映すことで、ゲーム内のホットバーをゲーム外に持ち出すことができるのです!ホットバーが足りない時は、このようにショートカットを割り当てて画面内のホットバーを節約しています。もちろん階層化もできますので、例えばバトル用、クラフター用、などもワンボタンで切り替え可能です。購入してみたら本当に便利で、仕事でもプライベートでもフル活用しています。

みやみや:最後にプレイヤーのみなさんに向けてひとことお願いします!

:自分も毎日FFXIVをプレイしていて、今でも本当に楽しいんです。実を言うと、自分は元々FFX-2やFFXIIIシリーズの開発に関わっていて、FFXIVは新生した少し後にプレイを始めたのです。一度プレイしてみたらとにかくおもしろくて、ぜひこの開発に関わりたい!ということで蒼天からFFXIVチームに参加させてもらいました。FFシリーズが好きなので色々なナンバリングをプレイしてきましたが、その中でもFFXIVは自分にとって特別です。昨日ももちろんFFXIVをプレイしていたのですが、やっぱりプレイしているだけで仕事へのモチベーションが上がるんですよね。プライベートで遊びながら、「こういうのを入れてみようかな」みたいなことを考えたりして(笑)。

 また近頃はSNSなどでUIをほめていただくことが増え、本当にありがたいです。最近だとグループポーズについて、落書きステッカーがかわいい、便利になった、という声をたくさんいただきました。グループポーズをはじめ、UIアーティストが手掛けたものを楽しんでくれている人が非常に多く、そんな姿を拝見するとこちらもとても励みになります!ぜひ、今後もSNSなどで感想を聞かせてください。

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 最後になりますが、UIで人を感動させることができる、ということが分かりましたので、これからもたくさん良いものを作っていきたいと思います!今後もFFXIVをよろしくお願いいたします。
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UIアーティストのバックステージ、いかがでしたでしょうか?
またお会いしましょう!!

★FF14バックステージ調査隊バックナンバー★
第1回:世界設定/メインシナリオライター:織田万里さん
第2回:リードレベルデザイナー:高橋新さん
第3回:WEBディレクター:高地浩之さん

みやみや(宣伝チーム)

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