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FF14バックステージ調査隊⑦リードテクニカルアーティスト:岡久達哉さん

こんにちは。宣伝チームのみやみやです!

FFXIVの開発/運営スタッフにいろいろな裏話を聞いていく企画、「FF14バックステージ調査隊」。

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今回はリードテクニカルアーティストの「岡久 達哉(おかひさ たつや)」さんにお話を伺ってきました!


テクニカルアーティスト(以下、TA)に関してほとんど知識ゼロな私が、「そもそもTAとは?」という基本的なところから調査していきます(`・ω・´)ゞ


20211011_mm_02.png▲プロフィール写真の代わりに、岡久さんがプライベートで使用しているキャラクターに似せたという、自作のキャラクター画像をいただきました。

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みやみや: TAは、一般的にはアーティスト()とエンジニアの橋渡しや、アーティスト向けのツール制作などをされているイメージがあります。FFXIVにおいてはどういったお仕事をされているチームなのでしょうか?
※本記事では、「アーティスト」は"モデル、モーション、エフェクト、カットなどデザインデータを作成しているセクション全般"を指します。

岡久: FFXIVにおけるTAの仕事は、アーティストの開発の効率化や保守がメインです。アートリソースを大量に、かつクオリティ高く作るための仕組みづくりをしたり、そのための機能を実装したりする仕事です。

 例えば、FFXIVには現在8種族、男女やヴィエラ男性まで含めると15種類もの種族が存在し、1つの防具を作るのにも種族の数だけパターンを用意する必要があります。そこでTA班では防具の種族変形を自動で行うツールを用意し、ある程度決まった手順で行うベース作業については、機械的に済ませられるようにしました。2013年頃から導入していますが、仕様変更や種族追加などに伴い適宜メンテナンスを行っています。

20211011_mm_03.png↓ボタンを押して、待つこと数十秒......
20211011_mm_04.png▲防具の種族変形を自動で行うツール。ヒューラン男性からルガディン男性へと変形しました。ゲーム実装のクオリティに仕上げるため、ここからさらにアーティストの手作業によるブラッシュアップが行われます。

 こういった形で、機械的な作業をなるべく簡略化することでアーティストのお手伝いをしています。またこれに伴って、アートのデータがどういう風にできているのかにも詳しくなってくるので、その知識を生かしてゲームの中の新しい仕様を考えたり、ゲームでの見え方に不具合が生じたときのサポートなども行ったりしています。プログラマーとの線引きが難しいかもしれませんが、プログラミングの知識も広く持ちつつ、アーティストがどうデータを作っているのかや、開発ツールの仕様を把握していることが、TA班の強みかと思います。

みやみや:魔法のようなツールですね......!プレイヤー種族や装備の多様性を楽しめているのも、TAのサポートあってのことと実感します。 岡久さんはどのような経緯でTAになられたのでしょうか。

岡久:新卒で、最初からTAとしてスクウェア・エニックスに入社しました。

 もともとはCG・映像系の業界を目指して勉強していて、学生のときは実写系の会社でインターンを経験していました。実写系ということもあり、かなりリッチな見た目を作っていたのですが、実際の作業は地味で手間のかかるものが続いていて......。その作業を効率化していたところ、そこに面白さを感じ、さらに調べていく中でTAという業種を知り、TAを目指すようになりました。

 当時TAはできたばかりの業種だったこともあり、募集がある会社もかなり限られていました。そんな中、今の第三開発事業本部のもととなる部署がTAを新卒で募集していたのを発見しました。特にゲーム業界を希望していたわけではなかったのですが、まさにやりたいことができそうな環境だったため、応募し入社することとなりました。『新生エオルゼア』の発売直前だったFFXIVチームへの配属となったのですが、現場が非常にバタバタしていて驚いたのを覚えています(笑)。

みやみや:それはまたすごいタイミングでの入社だったのですね......! そんな『新生エオルゼア』から関わられていた岡久さんが、これまでご担当された案件の中で、特に印象に残っているものについて教えてください。

岡久:プレイヤーの皆さんが触れるところで言うと、『紅蓮のリベレーター』での水中アクションの対応が特に印象に残っています。
20211011_mm_05.png 20211011_mm_06.png▲FFXIVではこれまで、『蒼天のイシュガルド』で飛行、『紅蓮のリベレーター』で泳ぎ/潜水と、拡張パッケージ発売のタイミングでゲーム体験を広げてきました。

 水中アクションの追加にあたって、自分がTAとして担当したのは"アーティストのための仕様"作成です。例えば、泳いでいるときに出る水しぶきのエフェクトを泳ぎのモーションと連動させる仕組みや、潜水するときのモーションと泳ぎのモーションをどのように組み合わせることで綺麗につながるか、などの提案をプログラマーやアーティストへ行っていました。

 水中対応で一番大変だったのは、水上でのキャラクターの「基準点」の修正です。FFXIVのキャラクターには「基準点」というものがあります。これを利用することで、体型の違うキャラクターにも同じモーションを使用することができます。

 当初は水上・水中でも、地上と同じく足元が「基準点」だったのですが、水上だと水面という"水準"があるため、種族によって見え方が変わってしまって......。ララフェルの場合は水中に沈んでいるように、ルガディンの場合は水面から少し浮いた位置で泳いでいるように見えてしまいました。
20211011_mm_07.png▲足元を基準にすると、ララフェル・ルガディンの身体が水面の位置からずれてしまっていることが分かります。

 そのため、水上に入った瞬間に"高速で「基準点」を胸元に移動する仕組み"を、プログラマーに無理を言いながら実装してもらいました。

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みやみや:拡張パッケージの新機能一つをとっても、こういった仕組みづくりが背景にあるんですね。 岡久さんとして、お仕事をされるうえで大切にしているポイントなどがあれば、ぜひお聞きしたいです。

岡久:何点かあるのですが、「長く作り続けられること」「本来の機能を超えた用途で使用しないこと」「矛盾のない実装をすること」......などを心掛けています。

 FFXIVは定期的にアップデートを重ねるオンラインゲームですから、"瞬間的にコストをかけて、作り切ったら終了"にはなりません。クオリティの高いものを作れば、その後のアップデートで何か影響があったときの調整コストも跳ね上がり、開発作業が間に合わなくなってしまいます。クオリティを上げようと思えば上げられるとしても、それをこの先維持していくことも考えたうえで線引きを行うことが大切です。

 また、この先どんなアップデートがあるか分からないので、それを予想して実装しておく......というのは現実的ではないと考えています。そのため、"今現在において矛盾のない実装"をするようにしています。

 FFXIVにおける実施の例で言うと、いわゆる"吹き矢イベント"の実装が印象に残っています。「頭を打ち抜きたい(頭の位置を知りたい)」という目的に対して、本来であれば頭に既に設定されているターゲット"A(仮)"を使用すればよいのですが、"A"はこのシステムのために設定されたターゲットではありません。なぜ流用を避けるかというと、仮にケルベロスのように頭が複数あった場合や、オズマのように頭がない場合はそもそも"A"が設定されないためです。将来的にそういったシチュエーションで"吹き矢イベント"を行いたくなった際に困る可能性があります。

 このため"吹き矢イベント"の都合に合わせて自由に増減や位置調整ができる"B(仮)"という専用の目印を作成して対応を行いました。このような問題は、実装時には問題にならないことが多く、システムを拡張する際などに問題に気が付くケースが多いため、実装時には仕組みやツールがしようとしていることとズレがないか、注意するように心がけています。

20211011_mm_09.png▲『紅蓮のリベレーター』のメインストーリーで登場した、帝国兵を「吹き矢」で狙撃するイベント。

 他にも、「ミスが起きにくい環境にすること」「忘れてしまってもすぐに思い出せるような仕組みにしておくこと」など、様々なことに注意しながら進めるようにしています。

みやみや:扱うところが目に見えない根底の部分であるからこそ、心がけるべき大切なポイントがたくさんあるのですね。 そんな中で、岡久さんが考える"FFXIVだからこそ感じられるTAの魅力"ややりがいは、どういったものなのでしょうか。

岡久:やはりオンラインゲームですので、長期にわたって開発/運営を続けていく必要があり、膨大なデータを扱わなければなりません。それは大変なところでもありますが、自分がやりがいを感じている"どうすれば作業や必要データが少なくなるか、どうすればミスが少なく済む環境になるのか"の仕組みづくりに注力できるという意味では、そのまま魅力でもあると考えています。

 また長期運営をしているので、新しいことをやりたいときに計画が立てやすい、というところも魅力的です。

みやみや:大変なことも魅力と感じるのは、岡久さんが常にチャレンジングな気持ちでお仕事に取り組まれているからなのですね。 それでは続いて、「私の仕事道具紹介」コーナーにまいります!岡久さんがお仕事をするにあたり、欠かせないもの、便利なものなどを1つご紹介ください。

岡久:テキストエディターの「秀丸」です。

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 新しい仕様を考える際には、いろいろなツールを使って過去の仕様などを調査するのですが、その中でも使用頻度が高いのがこの「秀丸」です。「秀丸」だけの機能ではないのですが、特に「grep機能」が気に入っています。

 例えば、現在FFXIVには膨大なモーションデータやキャラデータが存在しており、何か新しい仕様を追加する場合には、"これらのデータすべてに不都合が生じないか"の担保が必要になります。もし何か影響がある場合は、過去のデータを調整しなければならないので、「影響があるデータファイル」を洗い出す作業が必要です。

 ここで「grep機能」を使って、拡張子やフォルダの指定・データ内に組み込まれた文字列などの条件を設定し検索をかけることで、瞬時に該当するデータファイルを洗い出すことができます。膨大なファイルを一つ一つチェックしていたらとても終わらないので、TAとしては非常に助かっています(笑)。

みやみや:膨大なデータファイルを扱うTAの方々には、必須な機能なのですね......! 最後に、今後に向けての意気込みなど、プレイヤーの皆さんに向けてひとことお願いします!

岡久:いつもFFXIVをプレイしてくださって、ありがとうございます。皆さんの反応をSNSや動画へのコメントなどで拝見するのが、何よりもモチベーションにつながっていますし、毎日の楽しみになっています。この後に控えた『暁月のフィナーレ』発売に向けて、開発陣も最後の追い込みに入っているところですので、もう少しだけ、楽しみにお待ちいただければと思います。

 TA班としては、今後も新しい体験を皆さんにお届けできるように、そしてたくさんのアセットを品質よく皆さんにお届けするサポートができるように、これからも頑張ってまいりますのでよろしくお願いします!

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いかがでしたでしょうか?
こうしたサポートによって、私たちはFFXIVの世界で違和感なく、自然に、そして幅広く楽しみながら過ごせているのですね!
それではまた(^^)/

みやみや(宣伝チーム)

 

★FF14バックステージ調査隊バックナンバー★
第1回:リードストーリーデザイナー:織田万里さん
第2回:リードレベルデザイナー:高橋新さん
第3回:WEBディレクター:高地浩之さん
第4回:UIアーティスト:関洋一さん
第5回:コンセプトアーティスト:長嶺裕幸さん
第6回:コミュニティチーム:加藤岳志さん

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